船橋の東葉高速線飯山満駅(船橋市飯山満町2)で2月27日、船橋東消防署と東葉高速鉄道が合同で化学災害を想定したNBC災害対応訓練を行い、およそ60人が参加した。
NBCとは核(Nuclear)兵器、生物(Biological)、化学(Chemical)の略。同訓練は20年前の地下鉄サリン事件を機に実施するようになった。船橋東消防署と東葉高速鉄道合同による大規模な訓練は今回で4回目。
同署では毎月、野外訓練と室内訓練を行っている。今回の合同訓練は、2020年に東京オリンピックが開催されることや近年テロ災害の懸念が高まっていることから、各関係機関の連携強化を図る目的で実施した。
訓練の想定内容は、まず飯山満駅構内で何者かがペットボトルに入った液体をまいたことにより複数名の利用客が倒れ、他の利用客も気分の悪さを訴える。東葉高速鉄道からの通報を受け、船橋東消防署から防災対策チームが出動。意識不明者3人、気分の悪い者6人などの状況を確認し、化学兵器による被害と認識。防護服着用、除染テントの設営など行い構内の被害者を救出、除染などの救助活動に当たるもの。
大規模な訓練の様子を聞き付けた付近の住民や、通り掛かり駅利用客などが20人ほど集まり、訓練を見学した。
訓練では、大型のエアテントを数秒で立ち上げたり、防護服着用の救援部隊が空気の成分を調べる計器を手に災害現場に近づき計測したりする訓練、救出したテントの中でベルトコンベヤーに患者を乗せ、服を脱がせてシャワーを浴びせるなどと、除染する訓練も行った。
訓練に参加した同署の澤田さんと内海さんは「1995年に起こったサリン事件では、どの機関も経験がなく混乱したので、このような想定訓練は非常に大事」と話す。「われわれは60万人の船橋市民を守るという使命感を持っている。有事の際には、普段の訓練を生かして人命救助に尽くしたい」とも。
近所に住むという浜川さんは「近くの幼稚園に子どもを迎えに来た帰りに、訓練の話を聞いて立ち寄った。テレビでしか見たことのない防護服を間近に見て、こうした災害は現実に起こりうることなんだな、と実感が湧く」と話していた。