船橋市二和三咲地区の梨農家・船芳園(船橋市二和東2、TEL 047-448-2158)で梨の生育に欠かせない剪定(せんてい)作業をしたことで生じた「処分しなければならない枝」を3月14日、都内の陶芸家が窯をたく薪(まき)として引き取った。
船橋市では、宅地化の進行によって市条例で野焼きが禁止されている。かつては畑の一角で焼却処分していた不要な剪定枝だが、現在は梨農家の負担で有料処理している。
市からの補助金もあるが農家への負担は重く、枝処分はかねて農家の間で頭の痛い問題として話題に上がっていた。
今回、梨の枝を引き取りに来たのは世田谷区で陶芸教室「ひろ工房」(東京都世田谷区、TEL 03-3302-5554)を営む阿部浩久さん(48)。阿部さんは作品を窯焼きする際、薪代などで300万円ほどかけて一回の窯をたいているという。船橋の梨農家が梨の枝処分に困っているという情報を聞きつけ、つてをたどって船芳園の加納芳光さんに連絡を取った。
2トントラックのレンタカーで世田谷から枝を引き取りに来た阿部さんは、14日昼ごろに船芳園に到着。30分ほどで積み込み作業を終えると「この薪で7~8時間分くらい窯をたくことができる」と荷台を見上げて笑顔を見せた。
梨の枝を提供した加納さんによると「船橋市内には梨の枝処理で困っている農家が他にもいる。みんなで枝の有効活用をすることで経費の削減につなげることができる」という。「市内の農家に呼び掛けてトラックを手配するなど、今後に向けて協議していきたい」とも。
この件に関する問い合わせは、ひろ工房または船芳園まで。