船橋市中央部の飯山満から米ヶ崎にかけて広がる取掛西貝塚(船橋市飯山満町1)で9月9日、近隣住民と地権者を対象にした遺跡見学会が開かれ、約1万年前に当たる縄文前期の遺跡が見つかった発掘調査現場が公開された。
取掛西貝塚は、国指定の史跡登録を目指してこれまで5回に分けて調査を実施。2008年の調査時点では、船橋市内で最古の貝塚が発見されている。調査が進むにつれて東京湾東岸部では最古の史跡であることが分かり、全国的にも注目を集めている遺跡だという。
この場所では、縄文時代早期の貝塚と竪穴式住居10軒が見つかっており、1万年前の土器類と2000点を超えるツノガイ類でつくられたビーズ状の首飾り、海水と真水の混じり合う場所に生息する「ヤマトシジミ」が主体となっている貝塚も見つかっている。
全国で最古のものと思われる動物儀礼跡も見つかり、イノシシ頭蓋骨7個、鹿の上顎(じょうがく)骨3個分が並べられた状態で発見されている。こうした儀礼跡は全国的に見ても北海道東釧路貝塚などの5遺跡だけにしか見つかっておらず、船橋市のものは全国で最古になる見込み。
今回行われている調査は6月12日に開始。取掛西貝塚は遺跡全体で約7万6000平方メートル、今回はそれまで未調査だった5万平方メートルを国の補助を使って実施。2017年~2019年にかけて行う調査結果を2020年度に報告書にまとめ国へ提出する。
調査の様子は「広報ふなばし」や、船橋市のホームページ、SNSなどで情報発信するほか、講演会や考古学講座も実施していくという。