JR総武線津田沼駅近くで不動産賃貸・ビル管理業を展開する「かし熊」(船橋市前原西2、TEL 047-475-0164)が6月、創業100年の節目を迎え記念誌を発行した。
津田沼パスタビルとマクドナルド(現在はフランチャイズ契約終了)(関連画像)
記念誌では、現「かし熊」代表の椎名博信さんのあいさつにはじまり、創業者、二代目の紹介、松戸徹市長、篠田好造商工会議所会頭などからの祝辞、津田沼駅前の発展に関する変遷や100年間にあった世界の事件、津田沼周辺の歴史、同社の歴史を年表と写真を使って時系列で紹介している。
同社の創業は1920(大正9)年6月。初代の椎名波太郎さん(明治24年生まれ)が津田沼駅前に食堂と雑貨販売を営む「菓子熊支店」を出店した。後に改築し、「かし熊旅館」を開業。陸軍鉄道連隊や騎兵旅団、運輸業者などでにぎわう津田沼と共に事業を拡大していった。
大正12年生まれで二代目のタケ男さん(=タケの字は「丈の右肩に点」)が経営を継いだのは終戦後。旅館・飲食業だった「かし熊」を「割烹かし熊」に改名して、結婚式などの宴会需要を取り込みさらに事業を発展させていった。
1970(昭和45)年には事業を法人化(有限会社かし熊)。船橋商工会議所議員、津田沼駅北口土地区画整理事業の審議委員など地域の要職も務めた。1980(昭和55)年、食品衛生功労を認められ厚生大臣表彰を受け、1982(昭和57)年には津田沼パスタビルを開業した。
三代目の博信さんは、まだ日本に入って間もない「マクドナルド」のフランチャイズ化事業に取り組もうと25歳の時アルバイトをはじめ、4店舗で修業を重ねた末、新会社「ウイングス」を設立。29歳の時に完成した「津田沼パスタビル」に「マクドナルド津田沼駅前店」をオープンした。津田沼パスタビル完成後は、1987(昭和62)年JR西千葉駅近くの「西千葉パスタビル」をはじめ、総武線沿線を中心に10棟の商業ビルやマンション、アパートを建設・取得し不動産事業を拡大した。
今回、新型コロナウイルス感染拡大防止のための営業自粛要請を受け、4月から自主的に営業を自粛し休業した入居テナントに対して「家賃の減額」を申し出た。姿の見えない感染症相手の対策などで疲弊している医療機関や学校教育の現場には船橋市を通じて100万円の寄付をするなど地域とともに対策に取り組んだ。
四代目の航一さんは現在、同社で基本業務を勉強中といい、今秋には取締役に就任し徐々に経営に参加していく予定という。
博信さんは「スペイン風邪の流行、関東大震災、太平洋戦争、バブル崩壊、東日本大震災そして今回のコロナショックとさまざまな経営危機を乗り越えての100周年は感慨深いものがある」と話す。「今回のコロナ自粛でさまざまな活動が中止になり、逆に時間ができたため、かねてまとめたいと思っていた資料を集め、津田沼の歴史を振り返りまとめることができた」と笑顔を見せる。
「創業から『地域とともに発展する」というポリシーを貫いてきた。次の10年、20年、さらなる100年に向け、社員・家族一丸となって進んでいきたい。四代目が、自身の個性とスキルを生かし、会社をどう維持していくのかも楽しみ」とも。
記念誌はフルカラー、A5サイズ、全16ページ。200部発行。同社ホームページでも内容を公開している。