JAいちかわが今シーズン、梨箱のデザインを30年ぶりにリニューアルし、そのお披露目会を7月11日、船橋市内で開いた。
吉田さんに感謝状を渡す今野さん=JAいちかわが「船橋のなし」箱をリニューアル
JAいちかわは、設立60周年を記念した地域活性化のコラボレーションを企画。梨の生産量が千葉県内第4位の船橋市の「船橋のなし」をより多くの人に知ってもらうために、千葉工業大学(習志野市ほか)と協力して、30年ぶりとなる新しい出荷箱を制作した。
お披露目会には、松戸徹船橋市長や野田佳彦元首相、梨の生産者らも出席。JAいちかわ組合長の今野博之さんは「鉾田のメロンの箱を見た時にとてもきれいだったのが印象的で、船橋の梨の箱も新しくしてはどうかと思った。千葉工業大学ともつながりがあったので、デザイン科に協力してもらった。梨のおいしさはもちろん、『おいしい箱』で提供して『味も本物になる』のが目標」と話した。
2年前に始動した同企画。「箱を見てもおいしい」をテーマに、同大創造工学部デザイン科の学生9人が61点の案を出し、大学と生産者、JAが会議を重ねた結果、現在同大大学院1年の吉田朗人(あきと)さんのデザインが選ばれた。
「梨のみずみずしさと、食感のシャキシャキ、ゴリゴリした感じを表した」と吉田さん。ゴム版に彫刻して印刷する手法を聞いて、「版画のようなイメージで力強さも演出した」とも。果物の箱には一般的に使われない黒をあえて使い、梨の引き締まった感じと独自性を持たせたという。
「自分のデザインしたものが世の中に出るのがとてもうれしい。市原市出身で自分自身も梨が大好きなので、梨のおいしさと農家の皆さんの思いを届けたい。この梨箱が長く使ってもらえるとうれしい」と喜びを表した。
松戸市長は「学生の皆さんとコラボして、都市農業の魅力も発信できると思う。『船橋のなし』はふるさと納税でも人気で、街のPRにも大きく役立っている。今回の新しい箱は、次世代まで愛される箱になると思う」と期待を込める。
梨色のネクタイを身に着けて来たという野田元首相は「千葉工業大学という躍進している大学の学生の感性を生かしたデザインのこの箱で、梨農家がさらに盛り上がっていくことを期待している」と話した。
吉田さんがデザインした新しい出荷箱は、7月下旬ごろから出荷される「幸水」から使われるという。