船橋市西部公民館(船橋市本中山1)で3月10日、「炊き出し食の試食会」と題した防災訓練が行われた。主催は2021年11月から西部公民館で子ども食堂を続けている「中山ごはん」。
震災経験者の説明に聞き入る=こども食堂「中山ごはん」が炊き出し訓練
代表の菊田瞳さんは「子ども食堂として非常時を想定した訓練をしようと半年前に決めたが、能登半島や千葉県東方沖の地震が起き、身に迫った取り組みになった。初めての試みなのでスタッフの訓練を第一に、地域の皆さんの協力を頂き、一般市民にも呼びかける形にした」と話す。
同団体の20人ほどのスタッフが中心となり、町会・社会福祉協議会・民生委員の協力を得て進められた訓練には、家族連れなど約100人の参加者が集まった。試食が始まるまでの間、スタッフが防災体験コーナーで説明に当たった。
多くの参加者が関心を寄せていたのが、非常用トイレを組み立てる体験と手動発電のラジオやランタンの操作。大人2人が1週間に必要とする非常食を並べたコーナーでは、「こんなたくさん必要なのか」と、その量に驚きの声が上がった。
大学生の時に1995(平成7)年の阪神淡路大震災を経験した市川美穂さんが当時の体験談を語るコーナーも設けた。市川さんは「当時は家具の下敷きになった人が多かった。その後、家具を固定するなどの知識が広がったが、改めて身の回りを確認してほしい」と訴えた。「非常時のパッククッキングなどの調理法も生まれている。インターネットなどで調べることができる」とも。
電気・ガス・水道が停止したという想定で行われた炊き出し訓練では、ペットボトルの水とカセットコンロを使って、ご飯と豚汁の調理が行われた。ご飯は50食分を一度に作れる「アルファ米・炊き出しセット」を2つ使用。お湯を注いで調理した後、弁当容器に取り分け、ふりかけを添えて配布。セットには配布容器や衛生手袋・しゃもじなども一緒に入っている。
参加者たちはご飯と豚汁を味わった後、非常食などの配布品を受け取り、会場を後にした。参加した本中山三丁目東町会の二村富義会長は「スタッフがよく勉強していて感心した。地域で何ができるか一緒に考えていきたい」と話す。
「小さな子どもから年配の方まで、多くの人に参加してもらうことができた。災害への備えを考えるきっかけになったのでは」と話す菊田さん。「学校で何度も避難訓練をしているように、ライフラインが止まった時の対応を考えてもらうためには繰り返しが必要。今後の定期開催を検討したい」と意気込みを見せる。