市場小学校(船橋市市場1)で11月21日、芸術家・武藤順九さんによる「順九さんの寺小屋」が3・4年生の児童105人を対象に行われた。
出前授業は体育館で行われた=芸術家・武藤順九さんが市場小で出前授業 千葉県初、墨で心の絵巻物作り
「順九さんの寺小屋」は全国各地で行われているが関東での実施は2校目となり、千葉県では初の開催となった。
武藤さんは、船橋市が採用する5・6年生の図工の教科書にも活動が紹介されている彫刻家・画家。伊ローマと岡山県津山市にアトリエを構え、ローマ国際オスカー展絵画の部オスカー賞受賞、イタリア・ヴェルシリア展で彫刻・絵画グランプリ受賞など数々の賞を受賞し、作品はローマ教皇の公邸や、パリの国連ユネスコ本部、イタリアのピエトラサンタ、ベルギーのアントワープ市などに設置されている。
授業は、日本文化の美しさを体感し、自分や他者の感性や個性に気づくことを目的に行われ、児童は6メートルの巻紙に墨で「葉っぱの一生」をテーマにした作品作りに挑戦した。
世界で活躍する武藤さんは「日本人が日本のこと、日本の文化のことを伝えられるようにしてほしい」と話し、古くから日本に伝わる墨の使われ方を、魚拓を例に挙げるなどして説明した。
筆を使う書道の授業は3年生から行われるが、固形の墨をすずりですった経験がある児童はわずか3人だった。児童は武藤さんとゆっくり10数えながら墨を上下に動かして墨液を作るとことから始め、墨の濃淡による表現の違いを楽しんだ。
事前に校庭で拾ってきた落ち葉に墨を付けて転写したり、紙を黒く塗りつぶしたり、墨を散らしたりして、手を真っ黒にしながら自由に作品を作り上げる児童に「『心にたまったガス=心のおなら』を出しなさい」「自分の好きなことを発見しなさい」と武藤さんは熱く語りかけた。
完成した作品が全て並べられると、武藤さんは「この6メートルに君たちが感じたことや思ったことが見える。同じテーマでもみんな描いたものは違う。同じ人間でも同じものは二度と描けない。今の君たちの頭の中だ。みんなが大人になったときに今日の作品を開いてみてごらん。きっと面白い玉手箱のようなものになっているから」と児童に話した。
児童からは「大きな紙に絵をたくさん描けて楽しかった」「こういう面白い授業なら何回やってもいい」などの声が聞かれた。