4/6 AYAインクルーシブ映画上映会 in 岡山の様子
NPO法人AYA(本社:東京都中央区、代表:中川悠樹)は、病気や障がいのある / 医療的ケアが必要であるお子さんとそのご家族を対象に、『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』を鑑賞するイベント~AYAインクルーシブ 映画上映会 2025春~を開催。3月22日のイオンシネマ幕張新都心(千葉県千葉市)を皮切りに、全国22会場をめぐりました。当初予定した22回に、3回の追加公演を合わせて全25回の上映会を実施し、延べ5,082名を動員。イベントには、同法人代表で医師の中川ほか、医療従事者スタッフ、全国各地のボランティア延べ590名が映画鑑賞をサポート。参加者からは「可能性は無限大なのだと気づきました」「春休み最後のいい思い出ができました」などの声が届いています。
■NPO法人AYA と、映画『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』上映会開催の背景
医療的ケア児とは、日常生活及び社会生活を営むために恒常的な医療的ケア(人工呼吸器による呼吸管理、喀痰吸引その他の医療行為)を受けることが不可欠な子どものことを指します。厚生労働省の推計(令和4年)によると、全国の医療的ケア児(在宅)は約2万人。また総務省の発表※によると、障がい児は約90万人。社会全体で、医療的ケア児や障がい児の日常生活・社会生活を支援することが求められています。
NPO法人AYAは「スポーツ・芸術・文化を通じて、子どもたちの世界観が広がる場を提供します」をMissionに掲げ、病気と闘う・障がいと共に生きる・医療的ケアが必要である子どもたちとそのご家族に、様々な挑戦の場を提供しています。
上映会誕生のきっかけは、「映画館で、映画を鑑賞したい!」という医療的ケア児のお母さんからの声。席にじっと座っていることができない、急に声を出してしまう、医療機器のアラーム音・痰の吸引音が鳴るなどの理由から、周囲に迷惑がかかることを気にして、映画館での映画鑑賞に高いハードルを感じている現状を知ったことがスタートでした。
「健常な子どもたちや、その家族と同じように映画館で映画を見てみたい!」という、彼らの思いを叶えるためにスタートした本プロジェクトですが、実現までには資金や会場の確保など、たくさんの課題がありました。
最終的には、映画館のシアターをまるごと貸し切ることで、“音や声が出ても、じっとしていられなくても、安心して映画を鑑賞できる環境”を実現。医師や看護師などの医療従事者が会場内で見守ることで、緊急時の対応を懸念する映画館側の受け入れ障壁を下げました。
■東北から九州まで、22会場で25回の上映会を実施 延べ5,082名を動員
『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』~AYAインクルーシブ映画上映会 2025春~は、配給会社である東宝株式会社と、会場となった各映画館の全面協力を得て実現しました。全30回の開催地と参加人数は以下の通り。この場を借りて、すべての関係者の皆さまに御礼申し上げます。
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3/22(土) イオンシネマ幕張新都心 127名
3/30(日) 109シネマズ佐賀 150名
3/30(日) USシネマつくば 312名
4/6(日) イオンシネマ岡山 178名
4/6(日) イオンシネマ白山 208名
4/13(日) イオンシネマ福島 78名
4/13(日) TOHOシネマズ 秋田 179名
4/27(日) TOHOシネマズ ファボーレ富山 136名
4/27(日) TジョイPRINCE品川 192名
5/6(火祝) MOVIX宇都宮 264名
5/10(土) TOHOシネマズ ファボーレ富山【追加上映】89名
5/11(日) イオンシネマ和歌山 158名
5/11(日) TOHOシネマズ ららぽーと横浜 431名
5/18(日) シネマサンシャイン エミフルMASAKI 133名
5/18(日) TOHOシネマズ ららぽーと福岡 267名
5/25(日) イオンシネマ鈴鹿 185名
5/25(日) イオンシネマ高崎 197名
5/31(土) TOHOシネマズ ららぽーと横浜【追加上映】190名
6/1(日) TOHOシネマズ甲府 244名
6/1(日) 大阪ステーションシティシネマ 328名
6/1(日) TOHOシネマズ ららぽーと福岡【追加上映】163名
6/8(日) TOHOシネマズ アミュプラザおおいた 95名
6/8(日) ミッドランドスクエア シネマ 164名
6/15(日) イオンシネマ各務原 289名
6/15(日) TOHOシネマズ 錦糸町 325名
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■参加者の声
上映会にご参加くださった子どもたちと、そのご家族の皆さまからお寄せいただいたコメントの一部をご紹介します。
・映画館で子供たち揃って映画を観ることは母自身の夢でもありました。娘が幼い頃、プラネタリウムに挑戦したものの、すぐに退出となったトラウマで映画館は遠い存在です。今回、一度でも行けた、連れていけた経験は家族にとって、とてもあたたかい思い出になりました。(千葉)
・まわりが同じ境遇なので、障害児を持っている事に引け目を感じず、アラーム音、吸引などの音を気にする事なく医療行為ができ、映画鑑賞する事が出来る点がすごく良かったです。素敵なイベントありがとうございました。(佐賀)
・初めて子供と一緒に映画館で映画を観ました。障害のある子どもを持つことで、親である自分の生活に制限があると感じたことは今までありませんでしたが、映画館などは子供が騒ぎ親子共々楽しめないのではと、無意識のうちに排除していたのだと気が付きました。今回の映画体験では、子供も初めての体験にワクワクしていましたが、親である私も何とも言えない解放感を得ました。(茨城)
・障害、医療ケアが必要な子は近い年代の子供から避けられやすいのでボランティアのお子さんが笑顔で一緒にお手伝いしてくれていて嬉しかったです、ありがとうございます。(石川)
・障がいのある子どもを連れての映画鑑賞はハードルが高く、周りに気をつかうことを思うと、今まで観に行くことがないまま気づけば高校生になりました。新しい経験ができ、春休み最後のいい思い出となりました。ありがとうございました。(岡山)
・痰の吸引や栄養が、気兼ねなくできることと、車椅子の移動の介助をしてもらえることが、本当に助かりました。本人が映画を見たいのか、観ていられるのかわからない中で、1000円というお値段設定のおかげでチャレンジしやすいのもありがたかったです。(秋田)
・今年12歳になる知的障害と自閉症をもつ息子を映画に連れて行く事が出来ました。大きい音が苦手で、静かに見る事もできるかどうか、、、チャレンジしてみたいけど怖い、、、それが私の本音で今まで勇気が出ませんでした。声を出しても良い、途中退席も気兼ねなくできる、親の私にとってはすごくストレスフリーな環境でチャレンジする事ができて、本当にありがたかったです。(福島)
・息子は自閉症で、外出の際には周りに迷惑がかからないように非常に気を使います。映画館など行ける訳がないと思っていましたが、今回のイベントで初めて一緒に映画を観る事ができました。親の私が気楽にいられたので、息子にもそれが伝わったのか最後まで参加できました。(富山)
・全体を通して素晴らしかったです。映画の選定、日時・場所や金額の設定、申込み手続きの簡便さ、スタッフの皆さまの配慮のあるご対応、バリアフリーな環境がとても良かったです。(東京・品川)
・大きな声が頻繁に出てしまう息子ですが、最初に近くの方々と1分間ご挨拶をする時間があり、席の前後の方に大きな声が出てしまう事を伝えられました。相手の方々にも大丈夫ですよと言っていただけてホッとしました。障害の特性上、映画館は行けない場所のひとつで、行く事を諦めていたので今回、家族で行けた事が本当に大切な思い出となりました。(栃木)
・知的、多動のある息子と映画鑑賞をできる日がくるなんて夢にも思ってもいませんでした。周囲の人に迷惑をかけないように、普段から気を張り、行く場所も考えてたので終始安心して参加することができました!(和歌山)
・喜怒哀楽を声で激しく表現する娘と、映画鑑賞できる日が来るなんて!最高の体験が出来て本当に感謝しています。最初は初めての雰囲気に戸惑い泣いていましたが、車椅子の隣に少し立っていてあげたら落ち着いて、その後はずっと楽しめていました。(神奈川)
・映画がスクリーンに映し出された瞬間、娘は目をキラキラさせて喜んでいました。その様子を見て、思わず涙が出そうになりました。(福岡)
・愛媛に来ていただいてありがとうございました!重い知的障害で周りへの影響や映画館特有の環境を考えて今まで諦めていましたが、初めて好きなアニメを大きなスクリーンで観ることがてき、これからの希望になりました。(愛媛)
・普段、周りの目を気にしながら生活しています。近所のスーパー以外、ほとんど出掛けたこともありません。田舎なので、偏見や障害者への理解度も低く、クレームが怖くて何も体験させてあげることが出来ませんでした。今回参加して、『少しずつでもいろんな体験をさせてあげたい』と思えました。(山梨)
・映画館に入った瞬間、なんて素敵な空間なんだろうとしみじみしていました。声を出しちゃうのが普通、医療器具が鳴るのが普通。皆それぞれの普通があって、皆がそれを受け入れている空間。日本中、世界中がこんな素晴らしい空間になったらいいのになぁ~とすごく思っています。ありのままの息子を受け入れて下さり嬉しかったです。(三重)
・人口呼吸器を使用している子供はケアが多かったり、電源やケアスペースが広くないと長時間過ごせなかったりで、お出かけの機会が少ない現状です。今回の様に配慮された場で安心して過ごせて、家族共々大変楽しく映画鑑賞出来ました。(群馬)
・映画鑑賞させてあげたいと思いつつ鑑賞者に迷惑をかけてはいけないと諦めていた時にイベントに出会わせて頂きました。子供と一緒に楽しいと思える時間と一緒に映画鑑賞出来た事がとても嬉しい気持ちでいっぱいになりました。(大阪)
・子供が立ち上がったり音を立てても周りを気にしなくて済みました。ボランティアの方が助けてくださったり、声をかけてくださったので大人1人子2人で不安でしたが、安心して連れて行くことができました。(愛知)
・またとない、貴重な時間を、家族で、大きなスクリーンで観れた映画は兄妹の心にも大切に刻まれたことと思います。声を出しても、歩いてしまって。ということで健常な兄妹も安心して観ていました。(大分)
・地方だとなかなか近場でこのような体験ができる機会がありません。ぜひお話されていたように全国展開で今後も企画してくださると涙が出るほど嬉しいです。この度は楽しい企画、本当にありがとうございました。(岐阜)
・映画初挑戦!ストーリーは分からなくてもドラえもんと仲間達が困ったり、泣いたりすると「心配!」と言いラストは「安心」と、最後まで離席せずに楽しめた事は大きな成長でした!ドラえもんブックを大事そうに持ち帰る様子に良い時間と映画への興味の方が大きくなったような。ありがとうございました!(東京・錦糸町)
映画鑑賞にご来場くださったご家族の様子
■NPO法人AYA代表 中川悠樹より 上映会開催を終えて
全国各地をめぐるAYAインクルーシブ映画上映会はこれが4度目の開催です。これまで未開催の地域も含めた全22カ所での上映会を実施しました。今回は、インクルーシブ映画上映会としては初の2会場同時開催にこだわることで、限られた期間内での開催回数を増やし、これまでリクエストをいただきながら開催ができていなかった地域での実施も実現することができました。
本当にできるのか……不安がありながらも、より広い地域の子どもたちとご家族に「映画館で映画を見る体験」を届けることができたのは、ひとえに多くの関係者・ボランティアの皆さま、ご参加くださった皆さまのおかげです。心より感謝申し上げます。たくさんの方から「家族で映画館に行けてうれしい」などの声をいただき、次の活動へ向かう我々の大きな励みになりました。
過去の開催も合わせますと、これまでに37都道府県を巡ることができました。残り10県(青森・岩手・新潟・長野・島根・山口・徳島・高知・宮崎・沖縄)も今年度内にすべて回るよう企画を進めています。実現まであと一歩、引き続き頑張って参りますので、ぜひ応援をよろしくお願いします!
※身体障害児(18歳未満):約7万人1) 、知的障害児(18歳未満):約23万人1) 、精神障害児(20歳未満):約28万人1)、医療的ケア児(20歳未満) :約2万人2) オーバーラップあり
【出典】
1)内閣府ホームページ「障害者の状況」
2) 厚生労働科学研究費補助金障害者政策総合研究事業「医療的ケア児に対する実態調査と医療・福祉・保健・教育等の連携に関する研究(田村班)」 及び当該研究事業の協力のもと、社会医療診療行為別統計(各年6月審査分)により厚生労働省障害児・発達障害者支援室で作成)
◆中川 悠樹(なかがわ ゆうき)
2009年 京都大学医学部卒業。救急科専門医・外科専門医・JSPO公認スポーツドクター・医師会認定産業医・旅行医学会認定医・JDLA G検定/E資格。三井記念病院、横浜労災病院での消化器外科・救命救急センターでの勤務を経て、ドクターヘリ添乗医、離島医療などを実践。様々な活動を行いながら、2022年1月に任意団体AYAを立ち上げ、2023年6月にNPO法人化、代表理事就任。
◆NPO法人AYAについて
NPO法人AYA は、スポーツ・芸術・文化との出会いや触れ合いを通して、病気と闘っている・障がいとともに生きている・医療的ケアが必要である子どもたちの世界観が広がる場を提供します。 病気になったからこその出会いが、子どもたちの人生に彩りを添え、次の挑戦へ向かう情熱と勇気になればと考えています。
【法人概要】
社名:特定非営利活動法人AYA
本社所在地:東京都中央区日本橋兜町6番5号
HP:https://aya-npo.org/
取材・お問い合わせ:https://aya-npo.org/contact/