デリゾール県知事に「はじめてのヒロシマ」を手渡す
千葉県の教育支援NGO 特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト(代表:中村雄一)は、8月6日午前9時、三次市立十日市中学校で平和講演会を実施した。戦後80年の節目に、広島・長崎の若者が平和のメッセージを世界へ届ける活動を紹介した。
十日市中学校で行われた平和講演会
広島の生徒が翻訳した絵本が、戦火の地へ
広島県三次市十日市中学校3年生100名は、広島平和記念資料館が制作した平和教材『はじめてのヒロシマ』を英訳。なかよし学園がその絵本をケニアやシリアへ持参し、現地で朗読・解説を行い、授業後は学校図書館に寄贈してきた。
はじめてのヒロシマの翻訳作業を行う十日市中学校
はじめてのヒロシマの翻訳作業を行う十日市中学校
3年生100人が作業を分担し絵本の翻訳作業を行なった
ケニアモンバサの小学校にも「はじめてのヒロシマ」が寄贈された
シリア・デリゾールでの反響
今夏7月21日から8月3日、なかよし学園代表中村雄一は14年にわたる革命と内戦で甚大な被害を受けたシリア・デリゾール県で、これらの平和教材を県知事や行政関係者へのプレゼンで活用した。かつて繁栄していた街並みは爆撃や戦闘で瓦礫と化し、その光景は戦後の広島や長崎の写真と重なる。
デリゾールの町(中村雄一撮影)
デリゾールの町(中村雄一撮影)
デリゾールの町(中村雄一撮影)
プレゼンを受けた行政関係者の一人は、資料を見ながらこう語った。
「ヒロシマやナガサキのことは知っていたが、その復興の歴史を深く知ったのは初めてだ。今のデリゾールは、80年前の広島や長崎と同じ廃墟の姿をしている。日本が焼け野原から立ち上がったように、私たちも必ずこの地を復興させたい。」
モフセン・アルハシーン副知事(県教育部門担当)も次のように述べた。
「あなたが日本の復興の道筋を示してくれたことに感謝する。教育こそが、私たちが再び立ち上がるための力になる。」
「はじめてのヒロシマ」を読む政府首脳
「願う平和」から「行動する平和」へ
十日市中学校では講演会を通じ、シリアの現状や自分たちが行った国際貢献を振り返った。生徒たちは「願う平和から行動する平和」を実感し、今後は1・2年生も含め全校で「今、自分ができること」を世界に向けて行動していく。また長崎県対馬市立西部中学校はなかよし学園の「世界とつながる学びプロジェクト」で平和カルタを作成。なかよし学園はアレッポ大学、デリゾールアルハリータ市サリータ中等学校で平和授業として活用した。戦後80年を迎える日本の若者が願う平和から行動する平和へと世界各国でアクションを行う姿はこれからの日本のモデルとなるだろう。
平和カルタに喜ぶアレッポ大学の学生
平和カルタは教育関係者から大きな評価を得た
平和カルタを作成する対馬西部中学校
平和カルタを作成する対馬西部中学校
プロジェクトの位置づけ
本活動は経済産業省「探究・校務改革支援補助金」事業として、なかよし学園が全国50校と連携して実施する「世界とつながる学びプロジェクト」の一環だ。今年6月にケニアで行われた国際連合ACUNS学術会議でも発表された同プロジェクトは、日本の生徒が国際的な教育支援に直接関わる機会を創出し、世界と日本双方の未来を拓くことを目的としている。
国際連合ACUNS学術会議に参加するなかよし学園
代表・中村雄一 コメント
「広島と長崎の若者たちが起こした“平和のアクション”は、国境も文化も宗教も越えて人々の心に届きます。焼け野原から立ち上がった日本の経験は、今まさに戦後0年を迎えている国々にとって、生きた希望の物語です。教育は、武器や暴力に頼らず、人の心を再び結びつけ、未来を築くための最も強力な力です。教室から始まった一冊の絵本や一枚のカルタが、大陸を越え、戦火の街に笑顔と勇気を届ける──その連鎖こそが、私たちが次の世代に手渡すべき本当の“平和のバトン”です。これからの時代、日本の若者の「行動」をなかよし学園は応援していきます。」
シリアの大学関係者に広島長崎の歴史を説明する中村雄一代表
[団体概要]特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト
代表者:中村 雄一(設立:2019年/活動開始:2007年)
活動内容:教育支援・平和教育・社会起業支援
活動地域:日本国内およびアジア・アフリカ10か国
公式サイト:http://www.nakayoshigakuen.net/npo/index.html
【本件に関するお問い合わせ先】
Email:nakayoshigakuen.office@gmail.com
担当:中村 里英