台風12号の影響で江戸川が増水し、「江戸川放水路」開放の可能性について、船橋市漁業協同組合大野組合長が国土交通省宛に抗議文を送った。
利根川上流の山林付近に大量の降雨が続くと江戸川が増水する。「江戸川放水路」を開放し浦安~習志野市にかけての海岸線沖に広がる干潟「東京湾三番瀬」方面へ上流からの土砂を流し、下流域での氾濫を未然に防いでいる。
しかし、水門が開放される事で、三番瀬で漁業を行っている漁師には大きな損害をもたらす。「放水路が開放されてしまうと東京湾のアサリやホンビノス貝は全滅してしまう。今年いっぱい、下手をしたら来年まで漁師は仕事を失う」と、船橋市漁業協同組合の大野一敏組合長は話す。
放水路は、三番瀬へ水を放出する際に山からの土砂や江戸川底にある粘土質の汚泥まで三番瀬に流出する。泥をかぶる事でアサリやホンビノス貝などの貝類、稚魚は窒息してしまうのだ。
「早ければ3日17時ごろには放水路の開放が行われる予定だ」という通知が2日、江戸川河川事務所の署名で船橋市漁業組合に届いた。
これを受けて、大野組合長は2日、「毎年繰り返される江戸川放水路の開放による、三番瀬のアサリ・ハマグリ・ホンビノス貝の被害は零細な漁業者の死活問題。開放後の漁場は魚なら田に激変する。貝類が生息する浅海漁場の海底は、べたべたな泥に覆われ、貝類を窒息させ丸一年は漁労不能となり失業に陥る。江戸川沿岸の住民の生命財産を守るための犠牲にならなければならない理由を教えてください」という趣旨の講義文書を「国土交通省 江戸川河川事務所」宛に送った。