東邦大学(船橋キャンパス=船橋市三山2)の有志による学生チームが船橋大神宮(宮本5)の豊かな自然環境把握と維持を目的とした調査を行い、自然観察パンフレット「自然解説図譜」を制作し、12月7日、境内で報告会を行った。
調査チームは同大生が主導する「生命圏・フューチャープロジェクト」。チームを取りまとめたのは理学研究科環境科学専攻年生の宮崎いつ歌さん。
宮崎さんは同神社で巫女(みこ)を8年間努めた経験から、自然環境の豊かさ、多様な生態系について興味を持ち、同プロジェクトの研究テーマとして取り扱うことを提案したという。調査結果を踏まえたデータを基に環境省の「自然共生サイト」登録を目指す。
大学内で働きかけ、各学部から有志のチームを募集。植物、水質・水生生物、鳥類、昆虫類など分野ごとに細かく調査し、報告書にまとめ上げた。
神社内を7つのエリアに分け、事前調査を2023年8月8日、夏季調査を同年8月13日、秋季調査同年10月22日、春季調査を3月15日に行い、境内を網羅した。樹木は全体で115種。園芸種44種、外来種26種が観測されたという。特に全域に見られるクロマツは神社のすぐ近くまで海岸線があったことの名残として長い年月をかけて自生したのではないかと推察する。
草本は在来種86種、外来種49種の合計135種。本殿付近には多孔質の岩があり、コバノキノヒシダ、マメヅタ、トラノオシダなどのシダ植物に加え、「千葉県RDB(レッドデータブックリスト)」でDランク指定を受けている「アマナ」も観察された。
エリアごとに細かく植生分布などの調査結果も共有し、同様に、鳥類、昆虫類、水質や水生生物に関しても細かく調査。昆虫類は51科88種を確認し、大神宮で確認された6種の中には環境省や千葉県のレッドデータブックに記載されているものがあったという。
鳥類は年間を通じて16種を確認。キジバト、シジュウカラ、ヒヨドリは年間を通して大神宮に生息していることが分かり、ムクドリは夏のみ生息。コゲラ、エナガ、ツグミ、ハクセキレイは春のみの生息を確認したという。
調査結果として「10年前の調査と比較しても発見された種数に大きな変化が見られず、都市化が進む船橋市内において、船橋大神宮は生き物にとって生息しやすい環境が維持されていることが分かった」と報告した。
これらの調査データを基に、観光客や来観者が同社の自然を理解できるよう手描きイラストをデータ化した自然観察パンフレットを制作し、境内で配布を始めた。