
シドニー五輪柔道金メダリストの井上康生さんが指導する「特別柔道教室」が8月4日、船橋市総合体育館(船橋市習志野台7)で行われた。ヴァンガードスミス(東京都港区)が取り組む「防犯・柔道交流プロジェクト」の一環。
主催した同社の田中慶太社長は元警察官で柔道家。子どもたちに柔道の魅力と防犯につながる「自他共栄」の精神を伝えることを目的に企画。「弊社は近隣トラブル解決支援を行っているが、自分のことだけでなく相手を思いやる姿勢が、問題解決を早めることも多い。柔道の『自他共栄』の精神が、地域のトラブル防止や解決にもつながると考えている」と話す。
当日は、市内の柔道道場に通う小学生約70人が参加。第1部では子ども向け防犯教室を行い、電車内でのマナーや友人同士のトラブル時の対応方法をクイズ形式で学んだ。相手を思いやること、異なる意見を尊重すること、大人への相談の重要性などが伝えられた。
第2部は、井上さんによる特別柔道教室。ウオーミングアップではリレーや瞬発力ゲーム、協力ゲームで盛り上がり、続く実技指導ではペアでの打ち込み練習を通じて、大外刈りや背負い投げなどの技術を学んだ。相手を崩すコツや丁寧に技をつくるポイントの指導で、目に見えて子どもたちの動きが向上する様子が見られた。
質問コーナーでは「柔道が強くなる秘訣(ひけつ)」「オリンピックで最も手ごわかった相手」などの質問が相次いだ。最後にはじゃんけん大会が行われ、井上さん直筆のサイン色紙やTシャツが贈られた。
市内在住の関口航平君は「井上先生はとても優しくて分かりやすかった。サインももらえてうれしい。これからも柔道を頑張りたい」と意気込みを見せた。
井上さんは「柔道を学ぶことは、人生で学ぶことと大きく通じるものがある。勝負の世界ではあるが、努力すること、戦略や戦術を立てること、相手を尊重すること、友情を大切にすること、そして精神的な試練を乗り越えることなど、人生で生きていくために必要なことがたくさんある」と話した。さらに、「まず柔道を楽しんでほしい。そして、柔道から学んだことを人生に生かし、目標を達成しながら成長してほしいし、この社会に役立ててほしい」とエールを送った。「そのために私にできることをサポートしていきたい」とも。