船橋市は4月1日、災害時に配慮が必要な人向けに「子育て防災手帳」と3カ国語で表記された「防災ハンドブック」の配布を始めた。
一般市民向けの「防災ハンドブック」はすでに発行されているが、今回作成した冊子は災害弱者である妊婦や乳幼児のいる家庭や外国人向けに配慮したもの。阪神淡路大震災や東日本大震災等の教訓をもとに市が地域防災計画を見直し、要配慮に対する防災対策の一つとして、市民の声を聞いて約半年をかけ作成した。
妊婦や乳幼児のいる家庭向けの「子育て防災手帳」は、市が委託した10人の防災女性モニターとともに作成した。「普段から身近に置き目を通してほしい」という女性モニターの声を反映して、大きさは母子手帳と同じサイズで、母子手帳のソフトカバーに一緒に入れて持ち歩くことができる。
内容は、どう備え守るかということや、日常品の災害時への活用方法を写真入りで解説。いざ災害が起きた時の避難の仕方、非常時のミルクや離乳食、おむつやトイレのことなど具体的に女性ならではの視点で紹介。実際に震災を経験した母親たちの声も掲載する。災害ボランディアネットワーク常務理事の天寺純香さんは「まずは防災の備えをして生き残ることが大切。ママ同志のつながりだけでなく地域とつながりが大切」と話す。
「子育て防災手帳」は母子手帳交付時に配布。その他、市役所(戸籍住民課・危機管理課)、保健センター、児童ホームなどでも配布している。「子どものいる家庭に関心を持っていただき、防災や非常時に役立てていただきたい」と市長公室危機管理課の大橋創一郎さんは話す。
外国人向けの多言語版防災ハンドブックは、市の国際交流室が船橋市国際交流協会の災害時外国人支援サポーターらとともに作成した。中国語、韓国語、英語とひらがなで表記し、地震などの災害そのものを知らない人にも分かるよう、イラストや写真を豊富に使う。災害時にはイラストを指さすだけでコミュニケーションを取れる工夫も施す。
災害時の情報を簡単に取得できるよう各情報源のQRコードも記載する。同ハンドブックは、外国籍の人が転入の際に配布するほか、市内の公民館での日本語教室、日本語学校などへ配る。
国際交流室の大野弘樹さんは「ハンドブックを日頃から確認し携帯してほしい。市のホームページでも多言語の防災情報を発信している。防災マップも多言語で掲載しているので、スマートフォンで避難可能な施設の確認をするなど、ぜひ活用してほしい。災害時には地域とのつながりは欠かせない。
同ハンドブックが地域とのつながりを持つきっかけとなり、外国人が孤立するのを防ぐことができれば」と期待を込める。
仕様は、子育て防災手帳=A6版・34ページ、多言語版防災ハンドブック=A5版・29ページ。