船橋・芝山団地商店会で昔ながらのパン店を営む「アーノルドフジタカムラ」(船橋市芝山3)が3月31日、40年の歴史に幕を下ろした。
同店は1977(昭和52)年3月31日に開店。高村耕三さん(66)が商店街の繁栄と共に営業を続けてきたが、40年目の節目となるこの日で耕三さんが引退。息子で同商店会の会長を務める清太郎さん(36)が正式に店を継ぐことになった。
世代交代のタイミングで一時閉店し、4月22日にリニューアルオープンを予定する。1日から店内の備品などを運び出し、翌日から内装工事などを行う。
清太郎さんは同商店会と共に芝山で育ってきた地元っ子。子どものころににぎやかだった商店街を再び取り戻そうと2010年に商店会長に就任した。就任当初は、商店会長の仕事もままならず、古株とは意見がぶつかり、家主のURとも意見が衝突する日々が続いた。
先輩経営者の助けもあって周囲と粘り強く交渉し、地元の子どもたちやボランティアに参加してもらうことで商店街の魅力を高め、全国各地の商店街で成功している「100円商店街」「選挙割」「人生ゲーム」などの企画を視察し、積極的に商店街に取り入れ、時間をかけて徐々に人が集まる商店街をつくり上げてきた。
清太郎さんが商店会長に就任してからの7年間には、商店街に併設されていた生鮮販売のスーパー「芝山ショッピングプラザ」の閉鎖、それに伴った駅前への大手スーパー出店による商店街存亡の危機や、清太郎さんを導いてきた先輩であり親友でもあった経営者との死別などつらい経験もした。
そうした中で自分の将来を考え、足元を見つめ、清太郎さんは家業を継ぐことを決めた。イベントに参加し、一緒につくり上げてきた仲間たちが励まし、勇気づけながら迎えた40年の営業最終日。清太郎さんを応援しようと、多くの仲間が店を訪れた。
団地に併設された商店街は、団地住民の高齢化と大型スーパーの出店などで船橋市内のいずれも苦戦を強いられている。シャッター通りになる商店街が増える中、人の集まる場所として「商店街が存在する価値」の再定義が地域再生の大きな課題になっている。
同店は22日のリニューアル以降、「DJパン屋」という新しい境地で繁盛店を目指すという。