市川市動植物園(市川市大町)で2月24日、スマトラオランウータンの赤ちゃん(雌)が誕生した。
父親の名前はイーバン、母親はスーミーで、共に1988年生まれ。1992年に市川市と姉妹都市であるインドネシア北スマトラ州メダン市より寄贈された。これまでスーミーは2003年9月4日に第1子「ウータン」(雄)を、2010年7月16日に第2子「リリー」(雌)を出産している。
オランウータンは母親が育児を全面的に行い、6年~9年かけて子どもを育てる。3回目の出産なので育児も順調だが、妊娠期間が通常260日~275日のところ、252日とやや早産だったため、体重は200~300グラム(通常1.5キロ)と推定される。
同園の飼育展示グループ主幹・水品繁和さんは「スーミーが子どものそばを離れずずっと一緒にいるので、体重も推定になる」と話す。
育児中は雄と雌は一緒に暮らさず、それぞれのケージ内で過ごす。母親の子育てが一段落し子どもと離れるようになると、タイミングを見て雄と雌をまた一緒に過ごさせるという。
これまで3回の出産とも1回の排卵で妊娠している。水品さんは「これから無事に育ってくれることが、動物園全体にとっても大事になる。スーミーが母乳で育て上げるのを見守っていくしかないので、うまく育ってくれることを願うばかり。まだ楽観はできない」と話す。
第1子のウータンは2016年5月から繁殖目的(ブリーディングローン)で豊橋総合動植物園(愛知県豊橋市)へ貸し出している。現在、同園にはイーバン、スーミー、リリー、今回誕生した赤ちゃんの4頭がいる。国内で現在飼育されているオランウータンのうち、別の種のボルネオオランウータンは33頭だが、スマトラオランウータンは11頭。
名前について水品さんは「順調に育っていくのが確認でき次第、名前の候補を3つほど出し、その中から皆さんに選んでもらうようにしたい」と期待を込めて話す。