船橋漁港(湊町3)内の倉庫で5月18日、千葉ブランド水産物に認定されている「江戸前船橋瞬〆すずき」の「瞬〆」の技が広報関係者向けに披露された。
昨年度の船橋漁港のスズキ類の漁獲量は583トンで、2016年には漁獲量全国1位を記録し、船橋市はスズキの産地として全国的にも知名度が高まっている。
夏に向けて最盛期を迎えるに当たり今回、「瞬〆」の達人・大野等さんにより実演披露された「スズキの瞬〆」は、船橋の網元でナンバーワンのスズキ漁獲量を誇る「大傳(だいでん)丸」と、同じく網元の「中仙丸」とで設立した「海光物産」(湊町3)の看板ブランド。
「瞬〆」とは、取れたばかりの厳選したスズキの頭と尾に包丁を入れ、尾の部分から背骨にかけてエアガンで空気を入れ神経を一気に抜き去る技法。包丁を入れて血抜き処理をすると同時に、背骨の中の神経も抜くことで、全身に血が回ってしまうのを防ぎ、鮮度を保ったまま出荷できるため、「抜群の食感とうま味を引き出せる」という。
この瞬〆のスズキは「江戸前船橋瞬〆すずき」として通常の1~2割高値で取引され、築地市場や全国各地の卸売市場に出荷される。同社のホームページでも販売するほか、都内のレストランなどにも提供している。
船橋産スズキの漁獲量は、この数年、減少傾向にある。2016年度に前年の3割減となる633トン、2017度はさらに下回る583トン。同社社長・大野和彦さんは「気象変動の影響もあるかとは思うが、持続可能な漁場の確保と温存をしていかなければならない」と話す。同社は独自のルールとして5~10月と漁期を限定して産卵期のスズキを保護し、資源保存にも力を入れる。
この取り組みが評価され4月12日、水産資源と海に優しい漁業を応援する制度「マリン・エコラベル・ジャパン」に県内で初めて認証された。この認証を受けたことで、2020年の東京オリンピックとパラリンピックで「江戸前船橋瞬〆すずき」の供給が可能になり、「世界に向けて船橋産スズキが発信できる大きなチャンスになる」と大野さんは期待を込める。