船橋市出身のメンバーで構成されるロックンロールバンド「THE NUGGETS(ザ・ナゲッツ)が4月3日、ユーチューブで「究極のアイソレーション」と題したライブを配信した。
ライブ会場となったのはふなばし三番瀬に干潮時だけに現れる貝殻島。同バンドは今年2月から3月上旬にかけてオーストラリア、マレーシア、インド、エジプト、スペインなど世界6カ国を巡るライブツアーを開催してきた。その集大成として4月3日、地元である船橋市勤労市民センター(船橋市本町)のホールで「THE NUGGETS 特別単独公演『唯一無知』」を公演予定だった。
新型コロナウイルスの感染拡大防止を考慮し、同公演の中止を決定。同バンド内で「誰にも迷惑をかけず、予想できないような面白い方法で、何かエビバデ(皆さん)があっと驚くような仕掛けをつくろうと動き出した」と関係者は話す。
アイデアを出し合った結果、「隔離、隔離と言われる中、『究極の隔離』を見せよう」と、無人島ライブを思いついた。メンバーが昔、船橋の漁師に連れて行ってもらった干潮時だけに現れる貝殻島を思い出し、「貝殻島でパフォーマンスをしよう!」というアイデアにたどり着いたという。
同バンドでは以前からクラウドファンディングや有料配信は行わないという方針があったため、配信は同バンドのユーチューブチャンネルで無料で行った。
視聴数は230人ほどで、コメント欄には「おかえり!」「ナゲッツはデカいことやらかしてくれると信じてた!」などメンバーへの投げ掛けが寄せられた。同バンドフロントマンの工藤わたるさんは「想像以上のエビバデに、配信をご覧いただけて本当に驚いた」と話す。
工藤さんは「こんなにばかで、しかも急きょのアイデアに賛同してくれる人は多くなかった。でも船橋の人情溢れる音響屋さん、照明屋さん、撮影隊もフルに人員を回してくださり、スタッフや機材搬入用の船も驚くほど協力してくださった」と話す。「こんな時だからこそ、塞ぎ込んだ世の中を笑わせたいという一心でとにかく必死に味方をかき集めた」とも。
貝殻島でパフォーマンスをしたことについては、「海のど真ん中で誰にも迷惑をかけず、パフォーマンスができたことはこれまでにないほど最高に気持ちが良かった。遠くにともされた夜の船橋の街明かりが、ナゲッツを見守っているようで思ったよりも心細くなかった」と工藤さん。
同バンドは、CDや配信よりも「生」で観るエンターテインメントという点にこだわりを持ち続けてきた。工藤さんは「想像を遥かに超えるエビバデに視聴いただき、コメントの数々に思わず涙した」と明かす。「どんな形のエンターテインメントも最後は必ずオーディエンスが完成させるもの。今後も一貫してバンドとしては『生』にこだわり続けるが、こういった状況の中でどデカく面白いことをやる上では、配信という手段も一つ視野に入れることができた」と前向きに捉えた。