古和釜地区を流れる木戸川・水神橋近くの元農地で11月18日、元競馬関係者による木曽馬の試乗会が始まった。
試乗会で船橋の自然豊かな道を散策=船橋・古和釜地区で「木曽馬」試乗会
木曽馬の所有者は船橋市出身の大宮さん。大宮さんは40年以上競馬関係の仕事をしてきたが、2021年12月に長野県木曽郡木曽町に住む知人から雌の木曽馬(当時1歳)を譲り受け、船橋市内で飼い始めた。木曽馬は本土では唯一現存する在来馬で絶滅の危機にひんした時期があったが、現在の生息数は約100頭。数は減少気味で種の保存は、まだまだ厳しい状況だという。
大宮さんが飼う3歳の木曽馬の名前は「月陽葵(つきひまり)」、愛称は「ひーちゃん」。大宮さんは「木曽馬のことを知ってもらいたい」とひーちゃんに乗り、家族と共に古和釜、金堀町などを散策する。大宮さんがひーちゃんと過ごす日々の様子をインスタグラムで発信し始めたところ、馬好きを中心にフォロワーが増えていったという。
船橋市内の道を馬と一緒に歩く大宮さんを見かけた通行人から声をかけられることもあり、「顔なじみからはひーちゃん用に野菜や果物をもらうこともある」とも。
大宮さんはこれまでに「ホースセラピー」の活動に関わっていたこともあったが、さらに活動を広げていくため、現在、準備段階中。ホースセラピーは、馬との触れ合いや乗馬体験を通じ、障がい者の心身機能の向上を促すリハビリテーションの一つ。
活動を広げるため、11月7日から大宮さんのインスタグラムのフォロワーのうち乗馬経験者限定で「ひーちゃんへの無料試乗希望者」を募ると、県外を含め多くの希望者があり、約10人が試乗体験の機会を得た(既に申し込み締め切り)。
「通常、試乗会の馬は10歳くらいだが、ひーちゃんは3歳で、人間で言うと12歳くらい。まだ幼いので経験者に限定した」と大宮さん。「人を乗せて歩くのに慣れるように、ひーちゃんの練習も兼ねている」とも。
試乗会の時は大宮さんが手綱を短く持ち、安全に配慮する。「ひーちゃんガーデン」と大宮さんが呼んでいる市内の場所は知り合いの耕作放棄地で田んぼ1枚(約300坪)の広さ。大宮さんらが整備し、ひーちゃんも雑草を食べて整備を手伝っている。
試乗会に参加した水内真理さん(中野木在住)は高校生の時に1年ほど乗馬経験があり、今回の体験を希望した。「木曽馬は乗り心地がいい。練習に協力したい」と話した。
「木曽馬は温厚で我慢強い。体高(背の高さ)が約130センチで、背中に丸みがあるため、ホースセラピーに向いている」と大宮さん。「第一種動物取扱業」の免許を取得している大宮さんは「馬で人が笑顔になるのがうれしいし、自分自身も落ち着く。馬で社会貢献したい」と夢は広がる。