社会人を対象とした船橋のサッカーチーム「船橋FC」が12月12日、NFT技術(非代替性トークン)を活用したチームのオーナー権の販売を始めた。
同チームは1972(昭和47)年に活動を始め、小中学生を対象とした船橋市の選抜チームの教育・運営や未就学児を対象としたスクール運営などを通じ、地域社会に参加・貢献してきた。
2024年、「船橋FCスポーツクラブ」が運営を引き継いだ。同クラブ代表の梶原健さんは千葉ジェッツふなばし創設者で、ジェッツ退任後は各地でスポーツチームオーナーを歴任してきた。
「プロスポーツチームはある程度の規模感になると運営を大手企業に委ねるようになり、地域との接点が薄くなる。船橋の人口規模であれば地域貢献とチーム運営を両立させられるのでは」と新天地でのチャレンジを決め、6月に前職を辞し、チーム経営に合流した。
「オーナー権を担保するNFTを販売することで、今後のチーム運営に携わるメンバーを募集するとともに、経営権を持ちつつ『自分事』として実務に当たるスタッフも確保したい」と話す。
クラブ運営の管理には「DAO(分散型自立組織)」を活用。1口5万円で500口を上限に公式ホームページで販売する。運営に携わるメンバーが平等に発言権を持ち、選手や監督の採用などチーム運営に関する大部分に「投票」の形で参加できる。
同チームによれば、DAO型組織でスポーツチーム運営全般を管理するのは全国初の取り組みだという。2025年には単価を下げた追加のNFT販売で、さらなる成長に向けての資金調達も視野に入れる。
梶原さんは「世界で一番、地域に貢献するチームを目指し、市民参加型の組織でJFL昇格を目指す。船橋市の人口規模であれば実現は可能」と意気込む。
ブロックチェーン技術は、インディースクエア(東京都渋谷区)代表の星野裕太さんが経営に参画することで補完し、地域コミュニティー担当には船橋の情報誌「MyFuna」を発行するフィットの山崎健太朗社長が就任。広報や地域コミュニティーとの連携などで培ってきた経験を生かす。
今後は市内に専用練習場を確保し、チーム運営に必要なノウハウを持った企業との連携を増やしていくことで基盤強化を図っていく。現在、チームは千葉県リーグ2部に所属し、2030年に日本サッカーリーグ(JFL)昇格を目指す。