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船橋・八木が谷で伝統の「辻切り」-五穀豊穣、家内安全、商売繁盛など祈願

市内には他にも市指定無形民俗文化財に登録されている「中野木の辻切り」もあるが、木剣で打ち合う「辻切り」はここだけ

市内には他にも市指定無形民俗文化財に登録されている「中野木の辻切り」もあるが、木剣で打ち合う「辻切り」はここだけ

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 船橋市北部の八木が谷地区で毎年行われている魔よけ・厄除けの民俗風習「辻切り」が2月1日、長福寺(船橋市八木が谷5)を起点に行われた。

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 「辻切り」は、かつて日本の村落において集落や村の境界から疫病や厄災が出入りすると考えられていたことから、出入り口に当たる辻(交差点)にわらなどで作った蛇や草履、わらじなどを供えて「災い」が集落に侵入するのを防いだ事に起源があるという。

 現在も続く市指定の無形民族文化財登録の「中野木の辻切り」では、わらで作った大蛇を集落の入口にある辻に供え無病息災を祈願する。このほかにも、市内各所で「辻切り」は行われているが、すでに形骸化してしまったものもある。

 八木が谷地区で行われている辻切りは、ここ10年ほど2月1日に実施しているが、もともと3月に行われていたという。起源については定かではないが「旧豊富村八木が谷集落のころからなので、数百年前から行われていたのでは」と実行委員会メンバーの一人。

 八木が谷の「辻切り」では、まず集落との境界にある「辻」だけでなく集落内約50軒の家でも行われる。「奉納石尊神社 大天狗小天狗」と書かれた木剣を「えぃ、えぃ、やぁ」という掛け声とともにぶつけ合い、榊(さかき)で厄払いする。その後、竹を細く割いた棒に黄、青、赤の色紙で模した「花」を5つ付けた ものと餅を配り儀式が終わる。「花」は各家庭で1年間保存し、翌年の「花」を配られると焼却するという。

 同地区では辻切りを「春祭り」とも呼び、夏に行っている「石尊祭(夏祭り)」と区別している。同地区では3月3日に「オビシャ」と呼ばれる五穀豊穣(ほうじょう)を祈願した祭りも開催される。

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