スズキの水揚げ量日本一を誇る船橋港を拠点とする地元漁師が旬のスズキを最もおいしく食べる方法「瞬〆」を考案、地元のスズキをアピールしようと浜町公民館(船橋市浜町2)で7月4日、「瞬〆」の実演と試食会を開催した。
「瞬〆」という技法は、捕ったスズキの首をすぐに折り、全身に血が回ってしまうことで鮮度が落ちるのを防ぐ血抜き処理の技法の一つで、「船橋漁港だけの技術」だという。通常の血抜き処理では、首を折られても体には「神経」が通っているため、体が動くスズキの神経を抜いてしまうことで鮮度を保つ方法。
この方法を使うことで、スズキの身が本来の生きている状態で持っている「ザラザラした食感」を保つことができる。また、死後硬直することで硬くなる性質がある身の部分を独特の弾力ある柔らかさで保存可能になり、このままの状態で3日程度までは鮮度が維持できるようになるという。ザラザラした身にはしょうゆがよく絡み「刺し身として食べるのに最適」と来場者の男性。
現在、名古屋市場や築地市場では「船橋スズキ」の名前で指名買いも行われるほど定着した感のある技法だというが、地元船橋を含む関東圏では驚くほど知られていないという現状から、スズキの旬である夏が来る前に実演と試食会を開催し、地元での認知度向上を目指そうというもの。
この日は、実際に「瞬〆スズキ」が納品されている「居酒屋 竹」の店主らが駆け付け、来場者の目の前で実際にスズキをさばいた。会場では、船橋市漁業組合に声を掛けられ参加したという調理師会メンバーや卸売業者など10団体が新しい「スズキの可能性」に目を輝かせた。
現在のところ、市内で「瞬〆船橋スズキ」を食べることのできる店は、「居酒屋 竹(船橋市夏見台4、TEL 047-439-0767)、たいこばし(船橋市湊町1、 TEL 090-4003-6028)など。船橋市漁業組合によると、2010 年の船橋港でのスズキの年間水揚げ量は950トンで全国一。同年の全国でのスズキ水揚げ量は8968トン。