3年に一度行われる、船橋の漁師たちの祭礼「湊町八劔神社本祭り」が7月12日に始まった。
「湊町八劔神社本祭り」は、江戸の徳川時代、船橋の漁師町に疫病がまん延し、疫病払いを目的としたのが始まり。江戸時代、八劔神社は「漁師町天王社」と呼ばれており、祭神・牛頭天皇(ごずてんのう)を祭り、「船橋の漁師の天王さま」として地域住民が守り続けてきた。
1868(明治元)年の神仏分離令により、「漁師町天王社」は「八劔神社」に、祭神は「牛頭天王」から「須佐之男命(スサノオノミコト)」に改めた。1900(明治33)年には、戊辰(ぼしん)戦争で焼失した八劔神社神輿(みこし)が、地域住民により再び建設。現在は2003年に完成した船橋大神宮境内の奉安殿に、本町八坂神社神輿と一緒に鎮座している。神社創建より約300年にわたり地域住民が継承してきた伝統ある祭礼で、現在は「家内安全」「疫病退散」「海上安全」「大漁豊漁」「五穀豊穣(ほうじょう)」などの祈りを込めて、湊町連合自治会に所属する12自治会が実施する。
開催年ごとに当番を設け、当番となった町会主導の下で行われる。「当番に当たるのは36年に1度で、とても名誉なこと」と、八劔神社神輿保存会の度會(わたらい)俊夫会長は話す。
同祭は7月12日に「八劔神社例大祭」として、船橋大神宮境内(船橋市宮本5)で祭りと出御の儀式から始まる。
15日の「神輿渡御(みこしとぎょう)」では、各自治会のみこしをそれぞれトラックに積み、それぞれが出番(16日~18日)に練り歩く道を1日かけておはらいして回る。夜は湊町小学校でおはやしを行う。
16日~18日は舟町(湊町第三自治会)を筆頭に、各自治会が自分のエリアを練り歩き、みこしのゆすり込みを行う。ゆすり込みとは、みこしを漁師の船に、担ぎ手の人を波に見立て、左右に大きく転がすようにもむこと。「祭神スサノオノミコトは気性の荒い神様。みこしを激しくもめばもむほどに喜び、漁師町の繁盛につながると言い伝えられている」と、同会広報担当の内海和夫さん。途中休憩を挟み、各町会の女性たちが郷土料理のあさり汁「ふうかし」と共に食事を用意する。
18日は、当番の台町(湊町第四自治会)がみこしのゆすり込みを終えたあと、船橋大神宮に帰り、八劔神社還御の御儀を行い祭りは終了する。ゆすり込みを終えた町会は、祭りの無事を祝う「花流し」というイベントをそれぞれ実施する。