和梨の産地として全国1位の出荷量を誇る千葉県内でも有数の生産地である船橋市内の農家で7月上旬、梨の実が色づきはじめ、出荷に向けた準備が始まった。
空梅雨の影響を受けて千葉県内では全体的に小玉傾向のある今年の梨。水やりなどの細かい作業で生育状況に差が出ているという。船芳園(船橋市二和東2、TEL 047-448-2158)の加納芳光さんは、「空梅雨だがスプリンクラーなどを使って十分に水分は取ってくれている。日照時間が長いので生育状況は順調」と話す。
梨作りは、初夏の時期に発酵させるなどして仕込んだ堆肥を畑に混ぜ込み土作りを行うところから始まる。船芳園では、美浦のトレーニングセンターから競走馬のサラブレットが輩出した馬ふんから生成した栄養価の高い堆肥を使っているという。その後、生育状況の望める枝を選び出し不要なものを剪定(せんてい)し、春になり芽が出た時には不要な花芽を摘み取る摘花などを行う。
出荷開始早々の和梨は、日焼け度合いが強く比較的B級品として安価に出回ることが多いという。糖度などの点では最盛期の幸水に引けを取らないが、出荷規格としては低い評価を受けることが多いとされている。そのため、地元住民たちは出荷当初の日焼け梨を求める人も多いという。出荷の見込みは8月5日ごろ。同園周辺の梨農家でもほぼ同時期から直売所を開設し、梨の販売を開始する予定。
「船橋のなし」は、その多くが直売所から知り合いを通じた贈答品で流通することが多いため、確実に手に入れるためには「ふなっしー梨箱」をネット購入するか、直売所に連絡を入れて予約をするなどの方法が必要になる。