船橋市役所(船橋市湊町2)で1月30日、「社員の能力を引き出した実例に学ぶ、働き方改革セミナー」が行われ、市内の経営者や管理職約50人が参加した。
同セミナーは、市が行っている「ワーク・ライフ・バランス推進事業」の一つ。働き方を見直すことで社員の残業を減らし、社員のやる気を引き出した結果、業績を上げた企業の実例を紹介していくというもの。
基調講演のメイン講師には、「サイボウズ」の社長室フェロー・野水克也さんを招いた。同社は、共通の3次元データを見ながらネットワークを介しコミュニケーションが行える、グループウェアで業績を上げている。
野水さんは「2035年の日本の人口構成予測では、60~64歳の人口は920万人に上るといわれており、年功序列や長時間働いたら出世できるという時代ではなくなってくる。そうした中、出世できない下の階層の社員は生きがいや目標が無くなり、現状にしがみつくことに必死で労働効率が下がってしまうことが予想されている」と話す。
そうした中、「サイボウズ」では「100人いれば100通りの働き方」をスローガンに、それぞれがその時の自分にあったペースで長く働ける仕組みを確立した。クラウドを使用し、自宅や外出先でも仕事が行え、会社全体として情報を共有することで、効率的な働き方をしているという。
同社ではスキルがあれば短時間勤務でもスタッフを採用し、副業も認めている。「能力がある人を率先して採用し、限られた時間の中で効率的に働いてもらった方がみんな幸せ。在宅勤務や時短勤務は上司から率先して行い、社員に見せていく必要がある」とも。
市内在職の30代女性は「自分も子育てをしながら働いているので、効率的な働き方が常に求められている。会社全体として働き方改革を行っていきたい」と話した。
ゲスト講師として、現役の女子大学院生で、若い女性のキャリアライフとライフの両面からの人生設計をサポートする「manma.inc」の代表・新居日南恵美さんが、大学院生の立場から若手が理想とする働き方を講演。
事例講演の第1部講演者は、南三陸の鮮魚店「ヤマウチ」専務取締役・山内恭輔さん。震災で工場が流され、ゼロからの再出発の中、流出する若者を定着させようと「社員が働きがいを持ち、自分で意思決定をできる社内環境」を進めた軌跡を話した。
第2部はワーク・ライフバランスコンサルティングを行う「セントワークス」の一之瀬幸生さんが出席。特別なコストをかけずに成果につながった実績やそのプロジェクトの仕組みを紹介した。