船橋の建設会社「土佐工業」(船橋市三咲4)社長の柴田久恵さんが2月3日、フリーペーパー「けんせつ姫」を発刊した。
建築・土木業に携わる女性たちをはじめ、建設業界で夢を持って働きたいと思っている女性に向け企画したという同冊子。
「けんせつ姫編集部」を立ち上げ、編集長を務める柴田社長によると、関東エリアの建設・土木企業10社で働く、現場監督、防水加工職人、型枠職人、左官職人などさまざまな女性職人13人を取材したという。業界に入ったきっかけや仕事へのやりがい、一日のタイムスケジュールなどを写真集形式で紹介している。
柴田さんは「ヘルメットや作業着、ニッカポッカを履いて仕事をする姿と、私服姿のリラックスした表情を一緒に掲載した。女性職人のオンとオフの表情による違いを見てほしい。現場で活躍する女性たちにフォーカスし、私服姿の女性らしい様子と対比させた写真は、建設業界でおそらく初の試みでは」と話す。
21歳の時、起業したという柴田さんは「男性職員に交じってダンプカーを運転したり、土木作業を行ったりしてきた。私の若いころは女性の現場職員が少なく、みんな珍しがっていたが、女性だからといって甘やかされることはなく、私も男性に負けないよう、しゃかりきに働いた」と振り返る。
「男女雇用機会均等法で建設・土木業界も女性を積極的に雇用する企業も多くなった。日本社会を支える女性職人が注目を浴びるために、自分には何ができるのか、何をしたらいいのかという思いが常にあった」とも。
同冊子の発行に当たって、本業と違う事業への投資になるため、社内からは反対意見もあったという。柴田さんは「建設業に関わる女性として、建設業界を女性が一生働ける業界にしていくことが自分に課された使命と考え、いざという時は自腹を切る覚悟で発行に踏み切った」と話す。
現在、冊子の設置先から追加発送の依頼や、建設業女性活躍セミナー全国大会への参加依頼、大手建設会社から「けんせつ姫」とのコラボ企画の相談などもあるという。「建設業界の女性就業環境に一石を投じる効果はあった」と柴田さん。
「少しでも建設・土木業界に興味を持っている女子に、先輩たちがキラキラと輝いて働いている姿を見てもらうことで、夢へ向かって一歩踏み出す手助けになれば。建設現場で働く女性たちの座談会なども開催してみたい」とも。
A4版24ページ、フルカラー。初回発行部数は1000部。関東エリアの、建築・土木・造園科を持つ高校をはじめ、建設業に関連する大学、専門学校、企業、団体などに設置している。