市民朗読音楽劇「もみの木の歌」が10月19日、船橋市民文化創造館(きららホール、船橋市本町1、TEL 047-423-7261)で行われた。
市制80周年に向けて2015(平成27)年に始まった3年計画「アンデルセンプロジェクト」の後を継ぐもので、船橋市民文化創造館が船橋市民に広く芸術に触れる機会を作ることを目的に続けている。前日には通し稽古が行われ、松戸徹市長も観劇した。
船橋市文化芸術ホール芸術アドバイザーとして20年来船橋市に関わり続けている、作曲家の顔も持つ和田啓さんが芸術監督として統括。同プロジェクトを立ち上げた当初からタッグを組んできた劇団キンダースペースの原田一樹さんが脚本・演出を担当する。演出助手は同劇団の瀬田ひろ美さん、歌唱指導は松本泰子さん、照明は沖野隆一さん、振り付けは岡本初美さんが担当した。
市民に対しては「広報ふなばし」などを通してキャスト参加を広く呼び掛け、7月にオリエンテーションを行った。今回42人の市民が参加して8月から週1~2回の練習を重ね、本番の舞台に臨んだ。
原作はハンス・クリスチャン・アンデルセンの文学童話「もみの木」。大きくなりたいと願う「もみの木」が主人公。早く大きくなりたいと願うあまり、今身近にあるものや今という時間を大切に生きることへ目が向けられない「もみの木」は、いつか幸せが訪れると信じ「クリスマスツリー」になれたものの、役割を終えるとまきとして燃やされてしまう結末を迎える。
和田さんは「この『もみの木』に宿る創造の芽が、大きな集いの樹となり、文化の広場に憩いの木陰をもたらすことを願っている」、原田さんは「アンデルセンらしい作品だった。こういうものを書いていることを市民に知ってもらえる機会になればいいし、人生に不本意な思いを抱えている人、どう生きればいいのか分からない人が多い今の時代、こういった題材を船橋で扱えるというのはここだけの財産」と話す。
劇に参加した50代女性の一人は「プロの演出家にじかに市民が指導を受けるという機会は貴重だった。また機会があれば参加したい」と笑顔を見せる。観劇した地元の40代男性は「単なる音声朗読ではなく、歌あり芝居ありの演劇要素がいくつもあり、大変興味深く見ることができた」と話す。