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「災害に屈しない船橋を創るシンポジウム」 京大大学院の藤井聡教授講師に

シンポジウムの様子

シンポジウムの様子

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 人口密集地域の大半が海抜0メートル地帯という深刻な課題を抱える船橋市が後援する「災害に屈しない船橋を創るシンポジウム2020」が2月11日、満員の船橋市民文化ホール(船橋市本町2)で行われた。

講師は数々の著書で有名な京都大学大学院の藤井聡教授

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 主催は、「老朽化した船橋の海岸保全設備の耐震化」などを目標に掲げ2019(平成31)年2月に発足した「船橋地区海岸保全施設耐震化促進協議会」。シンポジウムの開催は2回目で、初回は2019(令和元)年6月15日に行い、「湊町地域だけでなく全市民が一丸となって課題を認識して防災対策を進めていく決意」を固めた。

 同年9月6日には協議会活動で集めた2万人を超える署名を携え、松戸市長はじめ地元選出の国会議員、千葉県議会議員、船橋市議会銀ら60人余りで菅内閣官房長官へ要望を伝えに訪問、「よく頑張っている」と評価と共に激励を受けたという。

 今回のシンポジウムプログラムの第1部では、京都大学大学院工学研究科教授で内閣官房国土強靭化推進室ナショナル・レジリエンス懇談会座長を務める藤井聡さんが講演を務めた。

 藤井さんは開口一番に「船橋は非常に危ない街」と指摘。市街地に海抜0メートル地帯を抱え、「首都直下型地震」では、東京湾の最深部にあることから大きな影響を受ける可能性が高いことなどを話した。

 船橋駅南口から漁港までのエリアは13万人、7万世帯の人口を抱えている。有事には司令塔となる「船橋市役所」、ハイパーレスキューなどの特別部隊が待機する「船橋市消防署」、緊急輸送経路として指定されている「国道14号線」も同エリアにある。

 2019(令和元)年に上陸した2つの台風と10月の豪雨災害について、「台風」による海面の上昇や「大潮」「満潮」のタイミングが重なっていたら甚大な被害を受けていた可能性があることも紹介。

 第2部では、松戸徹市長、船橋商工会議所会頭の篠田好造さん、船橋市自治会連合会副会長の平川道雄さん、千葉県土木整備部から渡邉浩太郎さん、国土交通省関東地方整備局から森信哉さんらがシンポジストとして登壇。
 「66年船橋の湊町で生きてきて今回の台風で初めて避難した。今年の台風で船橋・千葉県産のノリも大きな被害を受けた」と商工会議所の篠田会頭。

 千葉県庁から来た渡邉さんは、千葉県内の台風被害や大雨の影響を受けた県内の施設や水没した商店の写真を紹介。「船橋市内の海岸保全施設用に昭和50年代に作られたものばかり」と施設の老朽化問題に触れた。「水門に関しては海抜0メートルの市街地なので、年の半分は使われていない。稼働させながら直すのは深い知識と膨大な予算が必要」とも。

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