京成バラ園近くに現在、毎週2時間だけオープンするパクチー専門の直売所「パクチーシスターズ」(八千代市小和田新田)に、行列ができている。
店主は船橋市在住の立川あゆみさん。同直売所では生パクチーとパクチーの加工品、立川さんが手掛けるパクチーに関するアパレルブランドなど、パクチーに関するものだけ販売する。「6次産業化に伴って、パクチーの姉妹商品を展開していく意味でシスターズと名付けた」と、立川さんは笑顔で話す。
同直売所は10年ほど前に父・義博さんが当時畑の一角だった場所に作ったもので、ニンジン・ホウレンソウ・ネギなど季節に採れた野菜を販売する目的で建てたという。店舗面積は約2坪。ドアをくぐると正面と右手に商品棚。白いペンキで塗られた壁にはTシャツや、これまでに取材を受けた番組関係者や同所を訪れた芸能人などのサインが飾られている。
立川さんは新卒でアパレルデザイナーとして就職。昼はOLとして勤務する傍ら、夜は吉本興業の芸人としてステージに立つ二足のわらじ生活をしていたが、結婚を機に専業主婦に。しかし2004(平成16)年夫に先立たれ、まだ幼い2人の子どもを女手一つで育ててきた。同時期、家業を手伝う形で就農。生まれ育った八千代の実家周辺に耕作放棄地が増えてきたことを見ての決断だった。「未経験の42才ができることを考えて、女性でも栽培しやすいパクチーに絞った。ちょうど、アジアンブームがやってきたので助かった」と振り返る。
販売商品はパクチーペーストセット(2,000円)、パクチー300グラム(900円)、ハイジのパンセット(1,300円)など。これまで順風満帆ではなかったが、パクチー専門という全国でも珍しい農業の形やあゆみさんの明るい性格がメディアの注目を集めるようになると、各局・番組からの取材依頼が入るようになった。
立川さんは「『芸人時代よりもテレビに出るようになったね』と当時の先輩や同僚に茶化される」と笑う。デザイナー経験を生かしたアパレル商品やグッズの企画、飲食時代に知り合った仲間とのコラボ商品などで常に新商品が目白押しだという。
直売所の営業は毎週日曜のみ。営業時間は10時~12時(その日の収穫分が売切れ次第終了)。毎週、開店前に行列ができている。