船橋市内で「ヴィヴァイオ船橋サッカークラブ」を運営する渡邊恭男さんが4月から、新素材メーカーと組んで開発した仕組み「サポタ」を運用している。
「サポタ」は、通販で購入した資金からスポーツや音楽、文化、福祉団体などの活動費をねん出する仕組み。通販サイト「ビバネットワークオンライン」に団体登録すると固有のURLが発行され、団体に所属する人や卒業生がそのURLから通販サイトで商品を購入すると、売り上げの8パーセントが所属団体の活動費として支払われる。会員は、同サイトの商品を会員価格で購入できる。
渡邊さんは、市立船橋高校の卒業生。大学を卒業し、特別支援学校の教員として福祉の現場で15年勤務後、「知的障がいを持つ生徒と共に地域社会に貢献したい」と1999(平成11)年に独立。「ヴィヴァイオ船橋サッカークラブ」を設立した。現在、サッカーコートの管理や洗濯などの「バックヤード業務」を知的障がいを持つ人の仕事としてサッカーチームとつなぐ福祉事業会社「ネケッツトータルサービス」を経営している。
渡邊さんは地域のサッカークラブを運営してきた中で、毎年春になると卒業生が出ていき、一から新規入会者を集めるというスクールビジネスのままでは将来がないと実感。人とのつながりが継続的に、その団体の価値になっていく仕組みを作れないかと模索してきたという。
転機は2018(平成30)年。東京ビッグサイトで行われた猛暑対策の展示会場で、新素材「フリーズテック」を開発した「リベルタ」に出合った。水分に反応して冷たさを感じる素材を使ったインナーシャツに感動し、全国のサッカーチーム、スポーツチームに紹介した。猛暑に悩むスポーツの現場から多くの発注があったという。
スポーツ業界の現状、猛暑の状況下でのスポーツなどの課題について「リベルタ」と協議を重ね、同社の理解を得て「VIVAネットワーク」を共同設立。「リベルタ」で製造した商品を含め、これまで「ネケッツトータルサービス」で扱ってきた商品なども「ヴィヴァネットワークオンラインストア」で購入できるようになった。
渡邊さんは「ヴィヴァネットワークは、イタリア語の『VIVA』から命名した。『万歳』とか『喜び』とかそういった意味の言葉。チーム運営に苦しんでいるスポーツチーム、文化や福祉の団体みんなが喜んでくれる仕組みがやっとできた」と、15年にわたる苦労の日々を振り返る。今では北海道から沖縄の団体が登録しているという。