船橋市役所エントランス前で1月6日、伝統の「木遣り(きやり)歌と纏(まとい)の振り込み」が披露された。
木やり歌は新年などの祝いの歌で、まといの振り込みは火事場の火の粉を払い、災い回避の祈りを込めて行うもの。船橋市鳶(とび)職組合の若手組合員で構成される「若鳶会(わかとびかい)」の渡辺さん、菅谷さんらが、約10キロある重いまといを次々と勢いよく振り上げ、観客から拍手を受けた。粋でいなせと表現される江戸文化の一つでもある。
同日は、市の無形民俗文化財に指定されている伝統芸能「はしご乗りと木やり歌」が予定されていたが、雪が降り続いたため地上ではしごを支える人の足元が滑りやすいため、はしご乗りは中止になった。
外気温4℃の寒い雪の中だったが、多くの市民が伝統文化の見物に集まった。最後まで演技を見届けた船橋市の松戸徹市長も、関係者にねぎらいと激励の声を掛けた。
はしご乗りやまとい振りに代表される消防の出初式は、江戸の町火消し(いろは48組)に起源を持つといわれ、形を変えながら今も正月の大きな行事の一つとして継承されている。
「若鳶会」会長の伊藤勝巳さんは、「15人ほどのメンバーではしご乗りなどの技を練習し、市原市や千葉市の仲間とも技を競い合いながら向上を目指している。新年の景気づけと、災い除けのために木やりとまといの振り込みを、心を込めて演じた」と話す。「伝統文化の伝承が難しくなっているが、昨年今年と連続して新会員の入会があった。SNSで若鳶会の活動を発信するなど、継承者が増えてうれしい」とも。