船橋市西図書館(船橋市西船1)の貴重資料を展示した「蔵出し展」が2月21日から、船橋市民ギャラリー(本町2)で開催される。
千葉県指定文化財の「天正検地帳」の原本=船橋市民ギャラリーで「蔵出し展」
同館郷土資料室はこれまで、所蔵する「貴重資料」のうち浮世絵を中心に企画展を開いてきたが、今回は古文書や絵地図を含む幅広い資料40点を展示する。
同館司書の森田明子さんは「今回の展示の一押しは、千葉県指定有形文化財の『天正検地帳』の原本。当館が所蔵しているものは1591年に現在の市原市を検地した貴重なもので、昨年修補を済ませ公開することとした」と話す。
「天正検地」は「太閤検地」とも呼ばれ、豊臣秀吉から徳川家康にかけてのもの。房総の検地は、秀吉の命を受けて家康が行っている。検地とは田畑を調査して生産高と年貢を納める責任者を決めることで、この時代に全国的に統一した測量基準が作られた。
「この検地帳は、千葉県が重要文化財に指定した17点、64冊の検地帳のうちの一点。当館は、1950(昭和25)年ごろ『特色ある図書館』を目指して郷土資料の収集を始めており、検地帳はこの時に入手したもの。以来、安価で良質の資料が出回っていた1970(昭和45)年ごろまで積極的に収集を進め、当館コレクションの核を築いた」と森田さん。
同館の収集範囲は、船橋市に限らず上総・下総・安房の房総三国を対象とし、「書誌学資料」を合わせて「貴重資料」として、温度・湿度が管理された収蔵庫に保管している。普段、船橋市民の目に触れることのないこれらの保存資料を「蔵出し展」として定期的に公開・展示している。
今回は「天正検地帳」のほか、同館が所蔵する最古の古文書である経典(平安時代と推定)や1399年作成の香取神社の「検田取帳」を展示しる。
これまで公開しなかったものを中心に歌川広重などの浮世絵、司馬江漢の「総州利根河今井渡」(絵画)、鍬形蕙斎の「日本一覧図」(地図)も併せて公開する。
森田さんは「当館にあるのは、長い歴史をかけて収集してきた貴重資料。一点一点の展示品も面白いが、船橋市がこんなに多種多様な文化財を持っているのかということにも注目してほしい」と来館を呼びかける。
開館時間は9時~17時(24日のみ19時まで)。入館無料。今月26日まで。