船橋・湯田喜野井の閑静な住宅街の一角にパン工房「ろーずまりー」(船橋市田喜野井3、TEL 047-404-3745)がオープンして1カ月が過ぎた。
同店は、障がい者自立支援法における「就労継続支援事業B型」に認定されている作業所で、NPO法人の「しーど」が経営する。新築一戸建ての建物をそのままパン工房として使っており、キッチンスペースにパン焼き窯を設置し、作業などはここで行っている。隣の8畳ほどの洋室は店舗スペースとして使い、商品を陳列している。店舗内外はバリアフリー対応になっている。
場所は非常に分かりづらく、最寄り駅からでも、「場所を知っている人で徒歩20分ほど。初めての人だと30分かかっても着かない」と同施設職員。カーナビの通りに進んでも、軽自動車でも通れないほど細い道を案内されるなど問題は多いが、一番の原因は「新築物件だということでカーナビが認識しない点」だという。「一度来店していただければ不思議と簡単なんですが…」
パンは大手のパン製造会社から技術提供を受けており、成形された生地が納品される。同店では生地を発酵させ、窯で焼くという過程を行っているが、こうした技術提携での作業所開設は県内でも初の事例だという。
パンは常時10種類程度を店頭に並べるが、午前中のうちに完売してしまう事が多いという。コロネ、ウインナーロール、エッグロール、カレーパン、ホテルブレッド、メロンパンの6種類を定番商品として、4種類を日替わりで販売する。
近隣に住む安藤さん(71)は毎週2回以上同店を利用するなじみ客。「何しろパンがふわふわで柔らかいのがいい」と、お気に入りの理由を笑顔で話す。「金時豆パンがお気に入り。柔らかくて食べやすい」という。
同店で仕込みなどの作業を担当している施設利用者の黒岩純子さん(23)は、以前の職場で洋菓子作りを2年ほど経験して同店オープンと同時に異動した。「お客さんも来店するので接客もできて楽しい」という。
同店責任者でNPO代表の金子和則さん(45)は「売れ行きが天候に大きく左右される。天気予報を見ながら翌日の準備を行っている」と1カ月間の営業で得たノウハウを明かす。「周囲に何も店が無い住宅地なので、口コミで皆さんが来てくれる」とも。
開店から1カ月。現在のところ広報や告知はほとんど行っていないが、中学校や特別支援学校への納品などで売り上げのベースはできつつあるという。
営業時間は10時~16時。土曜・日曜・祝日定休。