船橋市民の有志が集まって結成されたミュージカル劇団「ゆにぃ~く&ぴぃ~す」の旗揚げ公演が11月23日、薬円台公民館(船橋市薬円台5)で行われた。
サンタクロース養成学校を舞台とした「ゆにぃ~く&ぴぃ~す」の旗揚げ公演の様子(関連画像)
同劇団の代表は遠山ゆかりさん。幼少のころ、演劇の舞台に憧れを抱くも、周りの目を気にして諦めたという。「市内でさまざまなイベントなどを通じ、人とつながっていく中で、同じ気持ちの人がたくさんいた。劇団の立ち上げに関わってくれる仲間を得た」と話す。
ヨサコイの振付師で絵本作家でもある岡元邦治さん、歌手でボーカルコーチをする小松優一さん、主婦業の傍らデザイナーやイラストレーターとして活躍する、あみちえさんらを中心に劇団を立ち上げ、メンバーの募集を行った。船橋市民を中心に幼児から大人まで特技も経験も年齢もバラバラのメンバーが集まった。
「みんな違ってそれで良い。それこそパズルのピースみたいに」をテーマにした同公演。メンバーをパズルのピースのように組み合わせて一つの脚本にのせ、強いメッセージを発信するのが同劇団の特徴だという。
舞台はサンタクロースの養成学校。個性豊かなサンタクロースが自分のペースでこれからやってくるクリスマスに備え、パーティーの準備をしているところから始まる。
自己主張が強く自信家、細かいことに口うるさい優等生タイプ、おしゃまさん、強気、内気、とそれぞれ際立った個性のサンタクロース6人に先生の赤サンタを合わせて7色のサンタクロースが、その個性が原因となって問題に巻き込まれてしまう。
「これは自分のことかもしれない」と思わせるような心的描写やシチュエーションで感情移入を誘っていく。やがて、自分の中にある自分が嫌いな自分を、サンタたちはある事件をきっかけに気付き徐々に受け入れていく。
「良いところも悪いところも引っくるめて自分なんだ」「でこぼこな君が好き、どうか丸くならないで」など強いメッセージを発信しながらミュージカルは進んでいく。
劇団員には、子育て中の親だけでなく、幼児や10~20代の若い世代も参加。それぞれが同じ思いで練習に励んできた。「表現方法の一つを巡って練習が中断したこともある。これまで生きてきた人生とそれぞれの劇団員が真摯(しんし)に向かい合ったからこその事件だった」と関係者。さまざまな出来事を経て、劇団のテーマ「みんな違ってそれでいい」を伝えるために脚本、演者、演出が一体となって作品を作り上げてきた。
「観客の皆さんが最後のピースで、皆さんと一緒だから完成する。それぞれの形の完成形があっていい」と遠山さん。「今までの見たことのないストーリーの鮮烈さ、観客の熱に合わせた生演奏による演出、舞台環境を彩る小道具や大道具の数々。全てが手作りだから、この時限りの感動を味わうことができたと思う」とも。