作家・森沢明夫さんの作品「きらきら眼鏡」を映画化した犬童一利監督が芝居仲間と立ち上げた「町の演劇先生」の受講者受け付けが、ウェブで始まっている。
犬童監督は、同作の市民オーディションを2017(平成29)年に行い、800人の市民が参加した。そのときの経験から、船橋市民に対して「市民オーディションやエキストラの参加者が多く、船橋市民はお芝居に興味を持っている人、エネルギッシュな人がたくさんいると思った。興味のある人が多いのではないかと思っている」と話す。
教室を始めたきっかけを犬童さんは「お芝居をもっと身近に感じられることをしたいと思ったのが一番。日本はお芝居というと、養成所やスクールに入り、プロを目指さないといけないと感じで敷居が高いなと思っていた。未経験者もどんどんお芝居に触れていってほしいし、ヨガの体験レッスンのように、とにかく一回やってみるくらいの感じで」と続ける。
「町の演劇先生」には現在、約30人の指導者が登録。船橋市ゆかりの指導者も2人いる。映画「きらきら眼鏡」で、バスの中で池脇千鶴さん扮(ふん)する主人公「あかね」が席を譲る妊婦役で出演している藤山ジルさんは、船橋市で育ち、船橋東高校に入学。文化祭で「風と共に去りぬ」に主演して演劇に目覚めたという。大阪出身で、ミヤコ蝶々さんのもとで演技の勉強をしたという、Taduさんは、2016(平成28)年から船橋や埼玉の市民ミュージカルに出演している。
当初は対面のレッスンを想定していたというが、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ意味でもオンラインのニーズがあると思い、オンライン先行でスタートしている。
芝居のレッスンでできることは、生活や社会生活に生かせることがたくさんあるという。オンラインでできることも多く、台本読み合わせ、台本を使った芝居、台本の分析、緊張をほぐすための簡単なストレッチ、声をよく出すためのエクササイズ、発声や滑舌のトレーニング、表情筋トレーニング、シアターゲーム、互いの自己紹介を通して普段の自分を確認、所作や簡単な着付けなど。
犬童監督は「このサイトを通じて、世代を超えた地域での交流が生まれることや芝居がもっと身近になって日常生活で生かされることが希望。理想像として、東京で昔役者をやっていたけれど、辞めて地元に戻った人などが先生になり、セカンドキャリア的にまたお芝居に携われたら。そこでその地域ごとで世代を超えた交流が生まれて、地域活性にもなれば素晴らしい。全国どのエリアにも昔お芝居をやっていた人は結構いると思うので、そういう人が草野球やサッカーを教える感じで子どもたちやシニア層などに教えてくれたら」と話す。
「演技未経験の方にこそ体感していただきたいが、そこからプロを目指して、未来のスターが生まれてくれたらとてもうれしい」とも。
将来のビジョンとして、受講者を通して、ユーチューブチャンネルなど発表の場を運営側で提供したいと思っているという。
予約フォームからオンラインレッスンを選び、希望日時、指導を希望する先生がいれば記入し申し込むと、事務局、指導者から案内が届く。レッスンを前に指導者と詳細内容を相談する。料金は、60分2,970円。