船橋市内在住の藤井裕大(中学3年)さんと父・雅博さんが7月19日に行われたスケートボード・フリースタイルの世界大会「WORLD Round-Up」で、裕大さんは「プロフェッショナル部門」、雅博さんは「マスターズプロ部門」で親子そろって優勝した。
同大会は世界中からプロとアマチュアのスケーターが集まるフリースタイルスケートボード大会。例年はカナダで開催しているが、今年は新型コロナウイルスの影響で、同大会初となるオンラインによるビデオ審査が行われた。
大会には22カ国から110人の選手が参加。日本からは23人の選手が参加した。実力や年齢を考慮し分けられた6部門のうち、最高峰とされる「プロフェッショナル部門」で裕大さんは高難易度の技とスピーディな演技を披露し、優勝。昨年まで同大会で3連覇の王者でプロスケーターの山本勇さんを1ポイント差で抑えて優勝を飾った。
裕大さんは「まさか優勝するとは思っていなかったので、めちゃくちゃうれしかった。自分がやりたいと思っていた演技ができたのが最高だった」と話す。初めてのオンライン大会に試行錯誤を繰り返したという。
カナダの現地でのコンテストだと、2分間を2回滑って得点の良い方が採用される方式だったが、オンライン大会は撮影動画の投稿を審査する方式で、何度でも撮り直しが可能だった。裕大さんは「最高難易度の技を後半に入れて、ノーミス、かつ納得の演技ができるまで、締め切りぎりぎりまで撮り続けた」とオンライン大会ならではの努力を重ねた。「映像だと単調に見えがちなので、見ている人を飽きさせないようなバラエティーに富んだ技の選択と、スピードの強弱をつけた演技構成を意識した」とも。
雅博さんは「クラスはプロクラスから落としての参加で、世界戦での優勝は初めてなので素直にうれしい」と話し、「さらにいい演技ができたはずだったので、納得の演技で勝ちたかった」と振り返る。
コンテスト向けの動画撮影について、雅博さんは「年齢的に2分間滑り続けること自体がかなり苦しいので、できるだけ体力を使わずに、できるだけ理想に近い演技ができる構成を考えた。体力を温存しながら、40オーバーではやらないような派手に見える技、オリジナルの技を入れてミスを少なくすることを意識した」とポイントを明かし、「お互いを撮影しながらだったので、裕大を優先させながら自分も納得できる演技ができるように調整するのが大変だった」とプロスケーターでありながら、父としての背中も見せる。
雅博さんは、日本フラットランドスケートボード協会(JFSA)の副代表も務め、長年フリースタイルスケートボードの普及活動やスケートボード業界活性化に注力。2009(平成21)年には船橋市内でフリースタイルスケートボード世界選手権を開催したこともある。
父の姿を見て自然と小学1年生で初めてスケボーに乗り、3年生から本格的に練習を始めた裕大さんは「フリースタイルはオリンピック種目ではなく、まだまだニッチなジャンル。オリンピック種目と同じレベルまでフリースタイルを知ってもらえるように、注目されるフリースタイルスケートボーダーになりたい」と夢を話す。「受験が終わったらユーチューブで情報発信も始めてみようと思っている」と普及活動にも力を入れていくという。
雅博さんは「スケボーといえば、フリースタイルもあることを想像してもらえるようになるまで普及活動をして、今フリースタイルを楽しんでいる人たちがより楽しめる場もつくっていきたい。まだまだ自分のスキルを維持し、こんなオジサンでも楽しんでできるスケボーがあることを体現していきたい」と、さらなる意欲を見せている。