ナシ農家「芳蔵園」(船橋市二和東2、TEL070-8443-1174)の6代目園主・加納慶太さんが毎年発生する廃棄対象のナシの「廃棄ゼロ」を目指し10月14日、ナシのドライフルーツとジュースを開発した。クラウドファンディングで販売を始め、初日で目標額の30万円を達成した。
右から「芳蔵園」園主・加納さん、「ファームコネクト」村瀬さん、石井さん、後藤さん
船橋市の名産であるナシは、毎年その収穫時期になると、傷や色、形や気候などにより発生しやすくなる「蜜症」のため、販売できないナシが一定量発生する。加納さんによると、今年は7月の長雨の影響などから、「幸水」で収穫量の3割が販売できないナシになった。もともと蜜症が発生しやすいという「豊水」は、蜜症果が今年は特に多かった。
大学時代から6次産業に関心を持っていた加納さんは、他のナシ農家と情報交換し、ナシのドライフルーツでの実績がある長野県の加工場へドライフルーツの製造を依頼。今年はナシのドライフルーツとナシジュースを作った。
日持ちがしない蜜症果を毎日のように出荷する輸送工賃、ドライフルーツにしてもらうための加工賃などで悩んでいたところ、加納さんが通っていた中学校の後輩でクラウドファンディングに強い村瀬雄太さんに会い、相談したという。
村瀬さんは今年8月末まで商社に勤務。クラウドファンディングサイト「Makuake(マクアケ)」などと取引があり、クラウドファンディングに関する知識もあったことから、加納さんに協力することを決めた。中学校時代の同級生、石井宏一郎(こういちろう)さんと後藤憲亮(けんすけ)さんと共にウェブ事業「Farm-connect(ファームコネクト)」(船橋市二和東3)を9月に立ち上げ。3人で加納さんのプロジェクトをバックアップした。
加納さんはクラウドファンディング「Makuake」で10月14日にドライフルーツの販売を開始。集める目標金額は30万円に設定したが、初日で目標額を達成し、1週間で70万円を超えた。村瀬さんは「食品業界で、1週間で70万円を超えるというのはまれなケース。加納さんの人徳だと思う」と話す。加納さんは「私や妻・智恵の友人らが応援してくれたほか、所属している商工会議所青年部の皆さんも応援してくださったのが大きい」と話す。
加納さんは「『廃棄ゼロ』の継続を目指すためには、来年への備えも必要。いつか『船橋の廃棄がゼロ』を目指したい。農家の可能性を広げることをまずは自分がやっていきたい」と熱く話す。
支援は11月29日まで受け付けている。