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武蔵野美術大学の学生と医療法人弘仁会が共同で、同法人が運営する介護老人保健施設「ロータスケアセンター」(船橋市藤原5)でアート展覧会「ムサビサンサン」を2月17日から開催している。
門田さんの作品は生き物の身体に等高線を描いたところから始まったという=船橋の高齢者施設「ロータスケアセンター」でアート展 武蔵野美大と共同で
同法人理事長の梶原崇弘さんは「超高齢社会を迎えるに当たり、その人が、その人の望む場所で、その人らしく最期を迎えるために、地域包括ケアシステムが重要視されている。今回、リハビリを通じて在宅復帰を目指す施設のイメージを一新し、利用者が元気になれる場を提供するため、武蔵野美術大学と共同でアート展覧会を企画した」と話す。
施設の1階ホールから屋上までを活用して15点の作品を展示。作品展示に参加したのは武蔵野美術大学・若杉ゼミの3年生14人と4年生1人。
作品の一つ「なんでも百面相」を制作した鶴岡正也(まさや)さんは「コロナ禍でマスク生活が続き、表情が見えにくくなったことがきっかけで、この作品を作った。病院でもマスクをする場面が多いので、表情の豊かさを思い出してもらえたら」と話す。100点もの面には、「叫びながら走ってくるゾンビ」などユニークなタイトルが付けられている。
家電や無機物、野菜などに「小さな命」を与えた作品を展示する長澤愛菜(あいな)さんは「小さい頃から無意識に描き続けてきたものを、今回初めて展示することになった。多くの人に見てもらうことで、新たな気づきや自信につながった」とコメント。
生き物を独自の視点から表現する作品を展示している門田柊介(しゅうすけ)さんは「版画のような力強い線とカラフルな色彩を組み合わせることで、より魅力的な表現ができると感じている」と話す。
同施設の担当者は「学生の創造力が利用者に刺激を与え、会話が増えるなど好影響が出ている」と感触を話す。3月4日13時~15時には、一般も参加できるイベント「フラワーワークショップ」も企画。世代を超えた交流の場を提供する。
3月17日まで。一般来場者は予約制で受け付けている。