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船橋の「ラーメン963」が「船橋にんじん」使ったポタージュ完成 販売も予定

左から「芳蔵園」加納慶太さん、「石神農園」石神昂輝さん、「ラーメン963」店主の黒川裕士さん

左から「芳蔵園」加納慶太さん、「石神農園」石神昂輝さん、「ラーメン963」店主の黒川裕士さん

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 「日本一のクラムチャウダー」でも知られる「ラーメン963」(船橋市本町2、TEL 047-498-9006)が5月2日、地域ブランド「船橋にんじん」の中でも食味が良く栄養価も高いといわれる「ベーターキャロット」の規格外ニンジンを使い、「船橋にんじん」のポタージュスープを完成させた。

完全無添加。冷製スープとしても温めてもよい

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 市内では4月下旬、地域ブランドの「船橋にんじん」の収穫期を迎えた。一方、「船橋にんじん」の中でも、より柔らかく、食味が良く、栄養価も高いといわれる品種「ベーターリッチ」(商品名=ベーターキャロット)については、規定の大きさに育てることが難しいこと、非常にデリケートな品種であることから、かつて約20軒あった生産農家は現在わずか4軒となった。そのうち2軒の農家では、「連作障害」による症状が見られる「ベーターキャロット」が多く発生し、市場に出荷できず廃棄せざるを得ない状況にあるという。

 ニンジンは土壌の成分などによって染みができたり、大きく割れたりする症状が発生する。市内で20年ほど前から「ベーターキャロット」の栽培を続けているJAいちかわ船橋ベータキャロット組合長の石神辰巳さんの息子・昂輝(こうき)さんは「ニンジンの染みは、割れているものよりも低く評価される。そうしたニンジンを廃棄しなくてはいけなかったことに、染みを削れば食べられるのにと悔しい思いをしてきた。今回、初めて染みがあるニンジンを買い取ってもらえ、手を加えて1つの商品として出してもらえることがうれしい」と話す。

 規格外の「ベーターキャロット」を使ったポタージュスープが生まれたのは、船橋市役所で行われていた「イブニングマルシェ」がきっかけだった。同所では一次生産者が作物を販売するブースと、キッチンカーがテークアウト専用のフード販売を行っていたが、ある日市内の生産者で構成する「船橋4Hクラブ」と「ラーメン963」が出店している日があった。

 「船橋4Hクラブ」のメンバーで、近年「フードロスを無くしたい」と活動を続ける梨農家「芳蔵園」(二和東)の加納慶太さんは、4H仲間の石神さんの畑では廃棄対象となる「ベーターキャロット」が多いことを、同日に出店していた「ラーメン963」の店主でシェフの黒川裕士さんに相談した。

 黒川さんは「産地が定まらない人よりも、船橋のニンジンを使えることにメリットがあると感じた。使ってみたら素材がとてもよく、ベーターキャロットを使ったシンプルなポタージュスープにしたいと試行錯誤して作った」と話す。「素材が良いので入れているものはシンプルにしている。濃厚なのに後味は軽い感じ」とも胸を張る。

 廃棄野菜について黒川さんは「今後、必要な取り組みだと思っている。簡単にはいかないと思うが、生産者、加工業者、販売者、販路含めて全ての人がやってよかったと思える取り組みができたら幸い。今回はニンジンに特化した取り組みだが、これからこの輪を広げていけたら」と話す。

 生産者である昂輝さんは「廃棄野菜を無くしていくことは農家だけの力では到底できない。今回は、流通の面で慶太さんが協力してくださったので実現できた。今後もみんなで力を合わせて取り組んでいけたら」と話した。

 現在、同商品は発売に向けて価格、商品名を検討中。冷凍パウチにして販売を予定し、まずは「ラーメン963」の店頭とECサイト「BASE」を使って販売していく予定。将来的には百貨店やイオンなどのスーパーでの販売も視野に入れているという。

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