船橋駅の待ち合わせスポットとして知られる「さざんかさっちゃん像」の設立40年を記念した手拭いが、染め物店「つるや伊藤」(船橋市本町4)の伊藤吉之助さんを主として7月中旬に完成した。
同像は、1980(昭和55)7月5日に除幕式が行われ、今年で除幕から40年となった。1979(昭和54)年、船橋青年会議所(JC)創立10周年の記念事業の集大成として「コミュニティファンド(地域基金)=さざんかさっちゃん教育基金」が提唱され、「さざんか募金運動推進協議会」を設立。同像はそのシンボル像として、船橋在住の漫画家・牧野圭一さんが「さっちゃん」を考案し、東武鉄道、東武百貨店船橋店の協力の下、コンコースに建立された。
「さざんかさっちゃん教育基金」は、市民から寄付を募って基金にし「育てよう 美しい心」をテーマに児童の教育と福祉を考え、次世代を担う青少年の健全育成を進めるための公益信託。活動が始まった1979年当時は市内各所に5000個の募金缶を配布・設置し、チャリティー事業を展開。1983(昭和58)年には集まった1,020万円を信託財産とし、日本のほかの地域に先駆け、同基金の助成事業を始めた。同基金の協議会初代会長は石神昭平さんで、当時JC理事でもあった。
石神さんと親しい仲で、創業165年となる染め物店「つるや伊藤」の現在の店主・伊藤吉之助さんは「基金は、市内の障がい児や母子家庭、非行防止対策などへの助成事業、奨学金事業などに使われている」と話す。
今回、基金活動が40年たったことに加えて石神さんが80歳を迎えるに当たり、伊藤さんと石神さんが「記念手拭いを作ってお世話になった方にお礼をし、この運動がさらに発展するように」と考案し、制作した。
手拭いに描くイラストは、市内在住のイラストレーター・小倉正巳さんと共にデザインを起こした。伊藤さんには「『さざんかさっちゃん』は知られているが、弟『福太郎』についてはあまり認知されていない。さらに『福太郎』が立つ海老川の丸山橋には、大御所の漫画家30人が描いたカッパが乗る『ボランティアの船』があることをもっと知ってもらえたら」という思いがあった。そこで、漫画家・牧野圭一さんの原画・モチーフを基に、指揮棒を振る石神さんに、さっちゃんや福太郎、ボランティアの船が上ってきたイメージに仕上げた。
小倉さんは「この手拭いの染めは、伝統的な染め技法『注染(ちゅうせん)染め』。伊藤さんがとことん色にこだわった」とも。伊藤さんは「空には浮かぶのは希望を表す『あかね雲』」と笑顔を見せる。
同手拭いは非売品。