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船橋で「つるや伊藤展」 江戸時代から続く老舗染物店の歴史を紹介

5代目店主の伊藤吉之助さん

5代目店主の伊藤吉之助さん

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 船橋市勤労市民センター(船橋市本町4、TEL 047-425-2551)展示室で10月15日・16日、「創業160年・つるや伊藤展」が開催された。

手拭いの見本帳

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 展示では、1854(安政元)年から現在の場所で営業を続ける老舗の染物店「つるや伊藤」(本町4)の歴史と、その仕事を披露している。

 「つるや伊藤」は江戸時代末期に船橋の「鶴屋惣七家」より初代の伊藤喜次郎が分家し、現在の地に紺屋(こうや)・鶴屋を開業した。紺屋とは染物屋の代名詞。1950(昭和25)年代までは船橋には海老川などを利用した染物店が十数軒あったが、河川の汚染や時代の流れで現在はほとんど残っていないという。

 展示会場の入り口に掛けられた大きな暖簾(のれん)をくぐると、「つるや伊藤」が手掛けた船橋市立船橋高校の新旧の校旗が展示されている。新しい校旗は本金糸の刺しゅうとフレンジに縁取られ、長い年月を経ても色あせないという。

 会場には他にも「つるや伊藤」が長年手掛けたさまざまな染色品を展示。市内の公民館の講堂の緞帳(どんちょう)の試し織りの布、緞帳の様子を紹介する写真パネル、戦後1950年代からの手拭い型紙や裁断される前の反物状の江戸小紋の手拭いなど。金糸で織られた豪華な佐原の山車幕の見本などもある。

 会場の一角には1960年代まで使われていたという湯熨斗(ゆのし)の釜と砧(きぬた)が置かれていた。5代目社長の伊藤吉之助さんは「小学生のころは登校前に砧で布をたたくのが仕事で、よく遅刻しそうになった」と振り返り、習志野市の佐藤佐知子さんは「時代を感じる貴重なものばかりで素晴らしい」と話していた。

 現在の「つるや伊藤」は染め物だけにとどまらず、旗、幕、祭礼用品から、舞台設備、インテリアまで幅広く手掛けている。船橋の三山の七年祭、神楽などの伝統行事や文化を支える一方、船橋市内をデザインした手拭いを作り、地域活性にも一役買っているる。「長年支えてくださった皆さまに感謝するとともに、真面目に取り組んできた仕事を、この機会に見てほしい」と伊藤さんは話す。

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