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「船橋にんじん」出荷始まる 「生でもおいしい」ベーターリッチ品種PR

(右から)「船橋にんじん」の生産者の仲村さん、石神さん、石井さん

(右から)「船橋にんじん」の生産者の仲村さん、石神さん、石井さん

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 長印船橋青果(船橋市市場1)で4月21日、「船橋にんじん」の出荷が始まった。

収穫直後のみずみずしいベータリッチ

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 JAいちかわ船橋人参共販推進委員会副委員長の石神辰巳さんによると、船橋市はニンジンの収穫量・作付面積ともに千葉県1位で、全国でも有数の規模を誇るという。1967(昭和42)年に国指定産地認定を受け、2013(平成25)年には「船橋にんじん」としては全国で初めて特許庁の「地域団体商標」に登録された。市内では北部を中心に約80軒の農家が「船橋にんじん」を栽培している。

 石神さんは「昨年12月から1月にかけて寒い日が続き、3月からは暖かかったことからニンジンの成長が例年よりも早く、1週間から10日早い出荷となる」と話す。石神さんによると、「船橋にんじん」は「ベーターリッチ」という品種で、通常のニンジンよりベータカロチンが10~15%多く含まれているという。「ベーターリッチは生で食べるのがお薦め。ジュースは糖度が高くサラリとしていて飲みやすい。緻密な肉質で繊維質がかなり少なく、スッと喉に通る」と石神さん。「実が柔らかく傷みやすい品種のため、暑くなる前の早い時期に出荷できるように栽培している」とも。

 石神さんは「ベーターリッチ」の栽培を20年位前から始めたが、昨今ニンジンの品種は目まぐるしく変わり、管理技術の向上と消費者から味の良さが求められるようになったという。「ベーターリッチは一時、船橋市の生産量の15%ほど占め、約20人の組合員が栽培していたが、現在は連作障害による乾腐病(かんぷびょう)などで出荷量が激減し、生産者は4人だけとなった」と石神さん。「乾腐病を克服した産地はないほど対策が難しい。『農業センター』(金堀町)などと協力しながら6年位取り組みを続けている。諦めるのは簡単だが、食感や味はほかのニンジンにはないものなので栽培にこだわっている。船橋の市場に出荷し、できるだけ船橋と近隣の人たちに食べてもらいたい」と話す。石神さんは自身の90アールの畑の7割で、この品種を栽培している。

 「ベーターリッチ」など野菜を高根町で栽培している仲村学さんは、石神さんと共にベーターリッチ栽培を始めた父親の取り組みを6年前に継いだ。「お客さんに『ベータリッチはおいしい。また来年も食べたい』と言われるとうれしい。ベーターリッチは栽培が難しく、昨年出荷できたのは収穫の4分の1だった。いつかは乾腐病を克服したい」と意欲を見せる。

 八木が谷の石井直樹さんも実家の農家を継ぎ、ベーターリッチの栽培を昨年から行っている。「ベーターリッチはおいしいが、まだ市民にもあまり知られていない」と話す石井さんは、インスタグラムや直売所でおいしさを広める活動に力を入れているという。

 「ベーターリッチ」の出荷は6月初旬まで続く予定。その後はほかの「船橋にんじん」品種の収穫が6月下旬まで続くという。

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