船橋の自家焙煎(ばいせん)コーヒー店「Philocoffea(フィロコフィア)」(船橋市本町2)が2月1・2日、同じく本町で約30年営業していた「ふぐすし割烹 喜久水(きくすい)」とコラボして、すしとコーヒーのペアリングイベント「板前PHILOCOFFEA~再生」を開催した。
開催数日前から店頭に突如現れた「割烹 喜久水」と書かれたちょうちんを見て、常連客や通行人、SNSなどで「コーヒー店がすし屋になったのか」「喜久水が移転したのか」「すしを出すコーヒー店なのか」など話題となっていた。
フィロコフィア代表の梶真佐己さんと喜久水の森章翁さんは10年ほど前から付き合いのある仲。常連客らから惜しまれつつ1月に閉店した喜久水の新たな門出を祝い、今回のイベントを梶さんが企画したという。「森さんの握るすしとコーヒーのペアリングにチャレンジすることで、コーヒーの概念を覆して、驚きやさらなる可能性を広げたいと思った」とも。
森さんは、コーヒーとすしのコラボの話を聞いた時、「驚きしかなかった」とほほ笑む。話を聞いていくうちに「すしを握る機会をもらえてうれしいし、新しいチャレンジをぜひ一緒にやってみたいと思うようになった」と振り返る。
両日、昼夜2回開催した同イベント。それぞれのすしに合うようにと梶さんが考案したオリジナルのコーヒーカクテルは3種。最初はさっぱりとしたすしに合うよう、かんきつ類とコーヒーを煮込んだカクテルを、2杯目はシェリー酒や氷出しのコーヒーなどを使ったカクテルを、3杯目は締めさばなど複雑な味のすしに合うよう、ラムや梅酒、シェリー酒などとコーヒーを使ったカクテルを、それぞれ用意。カクテルには酢飯で使っている昆布酢と赤酢もブレンドしているという。
「コーヒーは元々酸味があるので、すしの酢と共通項がある」と梶さん。参加者は「すしを食べた後、自然にグラスに手が伸びて、不思議なことによく合う。違和感が全く無く、驚いた」と話していた。
食事の最後にはフィロコフィア代表でもありハンドドリップチャンピオンシップ・世界チャンピオンの粕谷哲さんが、使っているコーヒー豆について説明しながらコーヒーを振る舞った。
梶さんは「今回のイベントを通して、お客さんと一緒にコーヒーの新たな可能性を見出すことができた。この場所を拠点に、また新たなコーヒーの世界を見出していきたい」と意欲的に話した。「靴磨きとコーヒー、絵画とコーヒーなど、コーヒーをキーワードにいろいろなイベントも開催する予定なのでお楽しみに」と粕谷さん。