市立船橋高校吹奏楽部員だった浅野大義さんと、市船吹奏楽部の絆が生んだ実話を基にした映画「20 歳のソウル」が2022年、全国ロードショーを行う。

（左から）神尾楓珠さん、佐藤浩市さん。 YOSAKOI ソーラン祭りの衣装で

　市船には「市船 soul」という応援曲がある。運動部の試合中にこの楽曲が流れると、試合の流れが変わり勢いがつくことから、「ソウルが流れると点が入る！」「市船のチャンステーマ」などと呼ばれ、市船を勝利へ導く神応援曲としてＳＮＳ上でも話題になった。

　この楽曲を作曲したのが、市船吹奏学部卒業生で、癌を患い20歳という若さで人生に幕を下ろした浅野大義さんだった。吹奏楽部員だった当時、野球部を応援する曲を作りたいと「市船 soul」を作曲。同楽曲は、運動部員たちや共に青春を過ごした吹奏楽部の仲間たちを勇気づけ、病にかかった浅野さん自身にも生きる力を与えた曲になったという。

　「市船 soul」の作曲を一番近くで見守り、浅野さんの青春に大きな影響を与えたのが吹奏楽部顧問の高橋健一さんだった。浅野さんは高校を卒業後、高橋さんのような教師を志し音楽大学へ進学した。

　高橋さんは浅野さんの告別式で、「大義のために演奏しよう」と声を掛け、164人の市船吹奏楽部OBを集め「市船 soul」を演奏。浅野さんを送り出したという。

　原作「20 歳のソウル」は、作家・脚本家・演出家の中井由梨子さんが2017（平成29）年、朝日新聞の記事をきっかけに、大義さんの関係者に取材を行い、2018（平成30）年に書籍化した。中井さんは「浅野大義という音楽好きの青年が 20 歳の若さで亡くなった。 その事実の中に、想像もできないような奇跡が、たくさんの人々の絆が、あふれ出す思いがある。短くても力強く生ききる、命の輝きを感じほしい。誰もが共感できる、明日への勇気となるような映画」と話す。

　監督は、元テレビ朝日の演出家・プロデューサーの秋山純さんはが「大義くんの生きた証しを多くの人に知ってもらいたい。その思いは、たくさんの仲間、素晴らしい俳優陣へと縁をつなぎ、映画として実を結んだ。大義くんがわれわれを選んでくれたのだと信じている」と話す。

　主人公・浅野大義さんを演じるのは、2021年のネクストブレーク俳優と呼ばれる神尾楓珠さん。大義さんの恩師・高橋健一さんを演じるのは、昨年俳優生活40周年を迎え、これまで100 本以上の映画に出演してきた、俳優佐藤浩市さん。両者共に市船吹奏楽部の演奏を見学し、神尾さんはスクリーンで大義さんの人生を生きる上での役作りに反映。佐藤さんは、初の吹奏楽部顧問を演じる上で、実際に高橋さんから指揮法を学んだという。